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『青識之論~フェミニストとの対話をめぐる対話』2021-12-16

 先日のマガジンで、青識亜論氏のnoteに対し、彼が「たったひとつの冴えたやり方」と呼ぶ「エンカレッジ・カルチャー」について、私は「それがたったひとつのやり方であってはならない」という話をした。

 「たったひとつの冴えたやり方」とは彼が文中で使っていたフレーズだが、ツイッターで青識氏から来た反論によると彼は「批判することは否定していない」という。

 結構なことである。
 結構すぎて、我々はこの種のフレーズを何百万回も聞いている。フェミニストからも、出来ては消える「インターネットから誹謗中傷をなくす団体」のたぐいからも。戸定梨香さんが動画を削除されたときも、木村花さんが亡くなったときも、呉座勇一先生が職を失ったときも、色んな人が謝罪や削除や辞職に追い込まれるたびに、その追い込んだ側の人々から腐るほど聞かされた。

 誰もが、誹謗中傷はいけないという。
 誰もが、批判はOKだという。

 誰もが、私は批判しただけだ、アイツが失職したのは、あの作品が消えたのは、他の誰かが勝手にやったことだという。
 大抵の場合その「正しい批判ならOK」は空手形だ。自分の気に入るものはOK、気に入らないものはアウトだと言っているだけである。

 青識亜論氏の場合はどうだろうか。ちょっとそのラインを探ってみよう。

1.青識亜論氏の「ライン」

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