『公園でAVを撮る方法』2024-03-27
表現規制派による「ゾーニング破り」がまた行われた。
ゾーニング破りとは、年齢制限や販売エリアの限定が行われている作品(たとえばエロ本やアダルトビデオ)について、フェミニストなどが「こんなヒドイ作品がありまーーーーーす!!」と糾弾するため外にわざわざ紹介する行為のことである。
今回槍玉に挙げられたのは、あるアダルトビデオの撮影が杉並区立の「蚕糸の森公園」で行われていたらしいという話。
これに杉並区議田中ゆうたろう氏の奥さんを名乗るアカウント「ゆうたろう(内)@tanakayutaro_w」が、公園の関係機関に問い合わせたところ「AV作品に許可は絶対下りない!無許可か虚偽申請だ!」と勇んで投稿、それをAVヘイターアカウントの「あっちゃん」が拡散したと言う流れである。
ちなみに、AV撮影といっても公園で青姦をおこなって撮ったわけではなく、エロシーン以外のいわゆる「ドラマパート」を撮影したに過ぎないようである。
とはいえ、AVヘイター達はこの「発見」におおはしゃぎであり、これに呼応して、週刊女性PRIMEが記事にした。
なんでも週刊女性PRIMEによると公園管理スタッフは同作品の申請を受けた「記憶」がないと述べているそうである。
私がこの記事の見出しをみて、まず奇異に思ったのは
「記憶」ってどういうこっちゃ?
ということであった。
杉並区公式ホームページによると、区立公園の利用条件や提出書類については、次のようになっている。
このうち作品内容に関するものは【利用条件】の「撮影内容は、公序良俗に反しないもののみです。暴力、風俗、犯罪等のシーンは撮影できません。」と、【提出書類】に「撮影の内容(絵コンテ等)公園内での撮影の内容を具体的に詳しくお書きください・」と書かれているだけである。
いずれも「暴力、風俗、犯罪等のシーン」「公園内での撮影の内容を具体的に詳しく」とあるだけで、作品全体がどのような内容なのかを申し出る義務などは、ここの記載からは読み取れない。むしろ、撮影に係る部分の説明である。
それとも提出書類の様式に、それを書く欄があるのだろうか……と思ったが、そもそもHPのどこにも、そんな様式のダウンロードリンクはおろか、存在を示唆するような記述(たとえば「事務所まで取りに来てください」とか)もないのである。企画書をファクスで送れ、とあるだけで、普通に考えれば様式は自由のようだ。
私はAVの脚本家というわけではないが、公園での撮影にかかる動画に関与することもなきにしもあらずな立場なので、興味を持って問い合わせてみた。
杉並区の「都市整備部みどり公園課管理係」に電話してみたところの回答では、やはり私がHPから想像した通りであった。
たとえば殺人を扱うミステリーや、暴走族のような反社会的な人物を主人公としたような作品、そしてアダルトビデオにおいても、当該の撮影シーンについての情報で可否を判断しており、そもそも他にどのようなシーンがあって全体としてどういう作品なのかといったことは申請させてすらいない。
また、企画書も特定の様式はなく、HPに書いてあるとおりのことが記載してあれば足り、つまり「それがAVなのかどうか」「他にどんなシーンがあるか」といったことは一切書く必要が無い。
では、ゆうたろう(内)が都立公園協会の方はどうであろうか。
もちろん件の蚕糸の森公園は杉並区立であって、都立公園協会は関係ないのだが、一応こちらも確かめてみた。
「ゆうたろう(内)」氏は「『撮影シーンによらず、AV作品の撮影に許可を出すことはない』と確認した」と言っているが、そもそも各公園によって許可条件や禁止事項は異なっていそうである。
また、「各公園への申請が必要となるのは、撮影目的が営利・非営利に関わらず、公園の一定の場所を一定の時間、排他的、独占的に使用するような場合です。例えば…」ともあり、これはいわゆる占有許可と通称されているものだ。基準はこちらの側にあり、その後のテレビ・映画、モデル撮影会……といったものは例示に過ぎないとも考えられる。
他人の邪魔にならないような短時間・小規模な、いわゆるゲリラ撮影であればそもそも申請しなくとも問題がないのではないかとも受け取れるのだ。いわゆる無許可撮影の多くはそういうものなのだろうか。
ちなみに区立公園の場合は、そういった場所や時間の占有といった文言はなく商用利用かどうかで許可の必要性を判断しているところが多いようなので、この論法で反論することは出来ないだろう。
今回のアダルトビデオについては、実際に都立ではなく区立公園の無許可撮影をしていたようだが、許可が取れないわけではない。
それは単純にSODの最寄りの公園がたまたま蚕糸の森公園であり、許可を取る手間(あるいは料金)を惜しんだだったからなのだろう。
もし規制が厳しくなったら……
さて、実際のところはそういうことだが、では今後、AVについてはドラマシーンのみの撮影であっても許可を渋るようなことになった場合、どのような対策が考えられるか。
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