見出し画像

『生成AIと児童ポルノ、の前置き』2024-06-28

 反生成AI派がフェミニズム同様、事実上のキャンセルカルチャー母体のひとつとなっている。

 反AIというのは、要するに商業的ニーズをAIに奪われるという恐怖から生まれた一種のラッダイト運動であるが、もちろんそれだけでは世界中でいつの時代も起こってきた「技術革新でなくなった仕事」となんら変わりは無い。駕籠や飛脚がかわいそうだから自動車産業をやめさせようと言い出すようなものだ。

 そこで色んな理由を付けて画像生成AIをとにかく攻撃しようとしているわけだが、彼らの言い分のひとつに「児童ポルノ」に関するものがある。
「生成AIで児童ポルノが作れてしまう」「生成AIがネット上の児童ポルノから学習している」というのがそれだ。

 今回は、この言い分に絞って考えてみたいのだが、結論からいえば私は「実在児童を児童ポルノの材料にされることから救うため、画像生成AIをもっと活用すべきだ」と考えている。

 なぜそう思うのか?

 その前に、ここでいう児童ポルノとは、さしあたり日本法でいう児童ポルノのことだと考えてもらってよい。つまり、現実の児童を被写体にしたポルノ写真や動画である。
 国によっては児童を描いたものであればフィクション――要するに漫画やイラストであっても犯罪となるということがあるのだが、幸いなことに日本はそうなっていない。私はこれは日本の漫画アニメ文化のためだけでなく、児童虐待防止のためにも良い事だと考えている。
 その理由は大きく分けて2つ。
「フィクションが現実の性犯罪・性虐待を助長しないこと」と「イラストや漫画を規制対象にすることは、捜査機関のリソースをそちらに割いてしまうこと」である。

ここから先は

2,760字 / 2画像
表現の自由に関する問題、男性論女性論、フェミニズムなどに絡んで独自の考察を展開していきます。

シンカ論マガジン

¥500 / 月 初月無料

主に表現の自由に関する問題、ジェンダーやフェミニズムなどに絡んで考察を展開していきます。週1回以上更新。月額500円で初月無料。記事内のリ…

ライター業、連絡はDMでどうぞ。匿名・別名義での依頼も相談に乗ります。 一般コラム・ブログ・映画等レビュー・特撮好き。