『グルーミングが悪である本当の理由』2023-11-30

 もう月末になって蒸し返すのも恐縮だが、「グルーミング」という言葉が今月中旬、Ⅹを騒がせた。

 理由はお笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気氏が13日、女優の奥森皐月氏との結婚を発表したことで、岩井氏が37歳、奥森氏は19歳だ。

 もちろん19歳は現在の制度ではまぎれもない成人なのだが、岩井氏はこれによってネットの一部女性――特にフェミ界隈から「ロリコン」認定を受け、二人の出会いが奥森氏13歳の時点だったことで岩井氏が彼女に「グルーミング」したと騒がれた。

 グルーミングとは、本来はニホンザルなどの一部霊長類が親愛を示すコミュニケーションとして仲間の毛づくろいをする行為を指す言葉である。「サルののみ取り」などと言われることもあるが、実際にはノミを取っているのではなく、一般的にノミたちの方も彼らの体毛に住み着くことはないという。
 転じて、セックスの餌食にする目的で、主に大人の男性が未成年の少女に対して「手なずける」企みをもって優しく接する行動を指す用語としても知られている。
 Xで(特に女性ユーザーの間で)バズることといえば一般的に動物学ではなくセックスの話題であり、もちろん岩井氏について騒いでいるのもこちらの意味だ。
 直後の報道によると、実際には奥森氏が推しであった岩井氏に熱烈なアプローチをして結婚にこぎつけたのが実情らしい。むしろ岩井氏は彼女と仕事で何度も一緒になりながら、彼女が未成年のうちは絶対に二人きりで会わないようにするなど気遣いをしていたとのことで、社会的には岩井氏叩きは「冤罪」だったことで決着している。

 このグルーミングは、事後的に「あれはその子を性の餌食にするためだった」ということが判明して初めてグルーミングと定義されえるわけだが、実際の行為としては単に子ども・未成年者に優しくするというだけのことである。
 しかし、これが地球上に絶対に許してはならない大悪魔族「ロリコン」の手口ということになっているのだ。

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