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 板垣恵介による格闘漫画作品で、週刊少年チャンピオン連載。
 天才的な格闘少年・範馬刃牙と、実の父親である最強の男・範馬勇次郎をはじめとするライバルたちとの戦いを描く「グラップラー刃牙」シリーズのひとつ。2021年7月現在での最新作にあたり、いわば相撲編とでも呼ぶべき内容である。

 本作の第100話は、ゲストキャラの高名な冒険家が上記の範馬勇次郎について語ったインタビュー形式の回想となっている(同作ではこのような「ゲストキャラの目撃談・遭遇談としてメインキャラの強さを語らせる」という手法が頻繁に挿入される)。
 その内容は「高名な冒険家が危険に挑む動機は、自身の『内面にある「雄(オス)」を探したい』というものであり、きっかけとなったのは範馬勇次郎に『手籠めに(つまり強姦)された』」というものである。範馬勇次郎は強姦をしたエピソードは過去にもあったものの、バイセクシャルであるという設定は初登場でありファンを驚かせた。

板垣恵介『バキ道』第11巻より

 なおバイセクシャルなのは彼が男性ホルモンが非常に多く、彼からすればどんな男も女性同然というトンデモ設定に基づくようである(ちなみに「あまりにも性格が尖っているので(物理的に)避雷針のように雷が落ちてくる」という設定もある)。

 このエピソードにあたる話に噛みついたのが、「やおい・BL研究家」であり、刃牙の関連書籍も出している金田淳子という女性である。

 これが単に「キャラクターに対する願い」の形で自身のレイプに対する考え方を語っただけというなら問題はないのだが、そういうわけではなく「「週刊少年チャンピオン」を読む男性の中に「男性に性暴力を受けた経験がある人」が居ないとでも思っているのでしょうか。」と、このような作品を週刊少年チャンピオンに掲載すること自体を叩いているのである。

 ちなみに金田氏は雑誌『ユリイカ』2007年11月臨時増刊号で、『ジョジョの奇妙な冒険』作者の荒木飛呂彦氏にインタビューしている。
 このとき彼女は同作の名悪役・ディオを、何の作中根拠もなく「何百人もの男たちに慰みものにされてきた」と勝手な妄想をぶつけ、荒木氏を苦笑(であることは明らかだろう)させている。

『ユリイカ』2007年11月臨時増刊号

 断っておくとBLファン女性、いわゆる腐女子一般がこういう無遠慮な妄想を作者本人にぶつける悪癖を有しているわけでは決してない。むしろ金田氏の言動は「腐女子マナー」にもとるものであるようである。

 また金田氏はツイッター上でも、自身の好みとするゲイレイプものについては幾度も露骨な大歓迎ぶりをあらわにしている。

 その一方で異性愛描写については、「裸になって恥ずかしがっている描写」のような、強姦とは比較にならないほど軽い描写に対してさえバッシングをしている。次の画像は彼女が少年ジャンプのラブコメ漫画『ゆらぎ荘の幽奈さん』の描写に対して述べた意見である。

 結局、金田氏は「好みの同性愛強姦描写」には極めて受容的で、「好みでない同性愛強姦描写」や「異性愛描写」については排撃的なだけなのである。

 それに対する弁解が、これである。
 残念ながら。よりにもよって、これなのである。

 レイプ神話そのものではないか。
 もちろん、同性愛であれ強姦であれ、その複合であれ、どのような性行為を愛好しようとそれがフィクションである限り、文句を言われる筋合いではない。
 批判されている問題は、彼女がその性嗜好を持っていることでも、表明したことでもない。

 その【BL無罪】のための論理が、異性愛描写や、好みでない同性愛描写には適用されないという御都合主義なのだ。

参考リンク・資料:

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