『月島さくら氏叩きが糖尿病患者に示した「真の無関心」』2023-10-25
AV新法やフェミニズムに批判的な発言を発信し続けている、セクシー女優の月島さくら氏がここにきてバッシングを受けている。
ひとつの理由は、フェミニズムを風刺したAVに出演したこと。もちろんこのAVはいろいろな点で、表現の自由として擁護されるべき最もコアな部分にある表現であるが、ここでは紙幅の関係で深く立ち入らない。
そしてその直後に起こったのは、月島氏がダイエットのために、2型糖尿病の薬であるというGLP-1作動薬という薬品を服用していることに対してのバッシングであった。もちろん医師の処方・指示をきちんと受けてのことだ。
これにバッシングが発生した。
「その薬は品薄なんだぞ!糖尿病患者の方が買えなくなったらどうする!」
と叩かれたのである。
もともとハードコアポルノであるAVの女優である彼女は、フェミニストだけでなく旧態依然とした保守側の性嫌悪者からも敵意を買っていた。
それに加え、月島氏はわりと歯に衣を着せない物言いをし、レスバもためらわずに行う性格であるため、フェミや規制派を嫌う人であっても、彼女のことは普段から忌避を口にする人もいる。
しかし、他のAV関係者などの同業者がイメージダウンを避けたがるのはいいとして、いわゆる表自の人が「イメージの悪い人は擁護できない」的なことを言いだすのは、そもそもの表現の自由の本旨をかなぐり捨てているとしか言いようがないだろう。
誰もが好感を持つ者のごく穏当な表現なら、誰も敵視しない。したがって公開を脅かされたりしないのだから「表現の自由」などという概念の出番はない、表現の自由とは、嫌われ者のための権利である。
さて、そもそも彼女が購入している薬は禁制品でもなんでもないし、先述の通り医師の処方もきちんと受けた上で入手したものである。これは嘘ではないだろう。
ダイエット目的のために糖尿病だと嘘をついて薬をもらっているのならば問題だろうが、少なくとも糖尿病で医者に詐病するのは困難だろうからだ。ダイエットがどのくらい必要か、あるいは強く希望していれば出る薬なのか知らないし医者にもよるだろうが、彼女は患者として正規の入手方法は踏んでいる。
さて問題は「それが買われることで困る人がいる」といって他者を責め立てることについてだ。
実はこの罪を、我々は毎日毎日犯している。
2021年12月、こんなツイート(当時)がバズったことがある。
これは同館の『吉原風俗図屏風』についてツイートで触れた際、「きらびやかな遊郭の世界をご覧ください」という文章で紹介したことについて、フェミに炎上させられたことについてのコメントである。
我々がふだんコンビニやスーパーで買っておいしく食べているチョコレートは、実は途上国での過酷で強制的な児童労働で生産されている。これも少しアンテナがあれば知っている話だ。少なくとも糖尿病の薬についてよりは有名な話であり、こうした商品を買うことは児童の強制労働に加担することでもある。
そして、それを避けるため意識高い人達の間では「フェアトレード」なる運動もあるにはある。児童労働搾取をしない事が確認された農場で生産されたチョコレートだけを買うという運動である。当然、かなりの割高になる。
こうした話を少なくない人が聞いたことぐらいあるだろう。だが我々のほとんどは結局、それを見て見ぬふりをして故意に忘れ去り、100円そこらでチョコレートを買ってむさぼり喰う日常を選んでいるわけだ。
私自身の冷蔵庫にも今、DANDY CHOCOLATEというフタバのチョコモナカアイスが眠っている。明日あたり食べるだろうし、そのときにはおそらく児童労働者たちのことは忘れているだろう。
あなたと同じように、だ。
他にも、先進国で食べられる肉牛を育てるために、それをはるかに上回る量の穀物が人間ではなく牛の口に入ることになり、遠くの途上国で飢餓を生んでいるとか、こんな話は幾らでもあるし、食べ物に限った話でもない。
われわれ先進国民の消費は日夜、彼らの生活や、時には命を誇張なく踏み躙りながら成り立っているわけである。
ちなみに月島氏は、2型糖尿病について「糖尿病の9割を超える2型の人は自らの不摂生が原因なケースが多い」と発言したことも「差別発言!」と叩かれている。
がしかし、実際にはこれは誤った偏見というわけでもなく、普通に客観的真実であるようだ。
遺伝による体質がもともとあればこそではあって、そこに同情の余地はあるが、その体質に過食・運動不足・肥満が加わって起こるというのはやはり、そういうことである。
はっきり言ってこの月島氏のツイートは叩くに値しなかろう。
さて、我々と月島氏と何が違うのだろう。
ガーナの農場に売られて過酷な児童労働に従事する少年の価値は、日本の2型糖尿病患者に劣るのだろうか。そもそも我々の消費活動のせいで生死にかかわる不利益を得ている人など、いくらでもいるのである。
まして月島氏が利用しているダイエット目的の診療は保険外診療であり、当然ながら高いお金を払わなければならず、価格による需要の調整はそこでも相当程度行われていると言える。
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