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 岐阜県郡上市にある郡上八幡城の非公認イメージキャラクター。
 現地に伝わる「人柱伝説」で犠牲となった少女「およし」をモチーフにしている。

 2016年、例年開催されている「新緑まつり」でのチラシ等の登場が予定されていたが「郡上にふさわしくない・害のあるキャラクター」として「お上からの有害指定」された。以降、現地の役所関連からは徹底して排除されているようだ。

 本人は以下のように説明している。

私のイラストや企画が中止となったのは「お上」からの中止命令によるものです。
「歴史や文化ある城下町 郡上八幡にはこのような女の子やアニメ風なイラストは好ましくない。害となる」という理由です。当時も女の子イラストに対する炎上のニュースが数件出ていたタイミングもあって、おそらく、クレームを避けるため・面倒ごとを起こさないために、世の中に出る前に中止したのが事の経緯です。

2020年2月19日ツイートより

 この仕打ちにもかかわらず本人は健気にも地域のアピールを続け、ツイッターでの宣伝活動やグッズ販売をおこなっている。

 この件について彼女は2020年2月「ラブライブみかんポスター事件」のときに自身の件を述懐しており、そのツイートに大きな反響があったため、改めて経緯を説明した。

 およしちゃんのモデルは、現地の人柱伝説である。
 城の改修の際、少女が親切心から大木の運搬を手伝ったところ、不思議なことに巨木がかるがると動いたため「そんな不思議な力を持つ娘なら人柱にちょうどいい」という意向で殺されてしまったというもの。
 なかなかひどい話であり、善意から役に立とうとした少女を権力者が勝手な判断で抹殺するという意味では、むしろ現在のおよしちゃんの境遇を予言するような話でもある。

 逆にそんな悲惨な話なら「不謹慎ネタ」であることにすれば排除を正当化できると考えた者もおり、6000件以上のいいねを集めた。

 しかしそれこそ馬鹿な意見であり、そもそも人柱「およし」の伝説はあくまで昔話に過ぎず、史実ではない。同様の伝説が遺っている城は数多くあるが、少なくとも築城に関しては史実とされている人柱伝説は皆無という代物である。
 これを不謹慎とするならば「昔話の作中で死んだ人をキャラにするのは全て不謹慎」という話になってしまう。そんなキャラクターはいくらでもいるだろう。
 たとえば福島県には『安達ケ原の鬼婆』伝説をモチーフとしたキャラクター《バッピーちゃん》がいて、地元の「安達ケ原ふるさと村」というパークのイメージキャラになっている。これは「育てている姫の病気を治すため、妊婦の生き肝を取ろうとして自分の娘を殺してしまった乳母が、鬼婆と化して退治される」という凄惨な話がモデルになっているが、何の問題もなく地域の憩いの場となっている。
 (上記のおよしちゃん自身の解説でも、磔になったイエス=キリストをネタにしたコメディ漫画『聖☆おにいさん』を例示している)

 不謹慎ネタでのおよしちゃん排除も、また無理があると言えるだろう。

参考リンク・資料:

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