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『李下に暴力性を質す』2021-11-13

 しばらく前から「すもも」氏のツイッターTLが賑やか、というか激論の場になっている。まあ彼のTLではしばしばあることなのだが。
 男女論について調査会社を活用した統計的調査を幾つもやって、ツイッター内では何度か話題になっている人である。

 今回、論争になっているすもも氏の論は「女は暴力的な男が好きだというが、統計をとってみると実はモテと暴力の間に相関性はほとんどない。これは外交性との『疑似相関』に過ぎないだろう」というものだ。

 リンクを貼っておくので詳細はすもも氏の論を直に読んで頂きたい。


 さて、疑似相関というのは、ある性質Aの真の原因である性質Bが、性質Cとも相関している場合、数字のうえでは性質Aと性質Cに関係があるように見えてしまうというものだ。
 たとえば「体重が重い人」は「バスケットボールが上手い」というデータがあったとしよう。この場合、「体重」と「バスケの成績」は疑似相関であり、「身長」が両方の原因なのである。身長が高い人は体重もその分ある傾向にあり、かつ身長はバスケットボールに有利だからだ。別に太っている人ばかり集めれば強いバスケチームが作れるわけではない。

 これほどあからさまであれば疑似相関に騙される人は少ないが、「ゲームをやりすぎる子は成績が悪い」などと言われると、それは「家庭環境の悪さ」が「ゲームのやりすぎ」と「成績の悪さ」双方の原因なだけだろう……という考察をうっかり忘れ、疑似科学的『ゲーム有害論』に傾いてしまう人が存外多い。

 「暴力性」と「モテ」の関係も同じような疑似相関で、実際には「外交性」が両方の真の原因なのだ!とすもも氏は言っているのである。

 さて、すもも氏の「暴力性とモテには、ごく弱い(正)相関しかない」という調査結果は、正直なところ私にも意外だった。
 ただし私の場合は「いやいや、もっと強い相関があるはずだ!」と思っていたからではない。そう思った人もかなりいたようだが、私はむしろ逆であった。

 女性という動物は、基本的に金と社会的地位の亡者である。
 そして明らかに暴力は、現代社会では金や社会的地位の獲得に不利に働く。ヤンキーは金持ちではないのだ。
 だから私は現代社会での利害関係、そしてそもそも暴力的な人間をそばに置いておくことが自身にとっての危険要素でもあることに鑑み、結果として「(物理的身体的)暴力性」は「モテ」と逆相関するだろうと思っていた。 
 しかしそれはすもも氏の調査によって覆された。

 すもも氏の調査結果「モテと暴力性には微弱な正相関しかない」ということは、逆に言えば女性達は暴力の負の要素をまるで気にしていないということになる。

 つまり、この現代社会でさえ「暴力」の魅力が相殺されきっていないのだ。「暴力ってそこまで魅力的だったの!?」という意味で私は驚いたのである。すもも氏の意図とは逆に。

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