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【男女共同参画推進フォーラム2023】

 ここでは、2023年11月11日に、東京都の品川区立総合区民会館「きゅりあん」で開催される予定だったフォーラム。
 フェミニストとして著名な田嶋陽子氏が「みんなの当たり前ってなんだろう?~偏見の壁を越えて一人一人が輝ける社会へ~」と題して講演を行う予定であったが、中止となった。

中止を告知する品川区ウェブサイトの画像

 品川区はウェブサイトで「諸事情により中止」とのみ告知したが、後に原発処理水についてのTV番組での発言が判断理由になったと、東京新聞の取材に対し以下の通り理由を明かしている(強調は引用者)。

 区によると、田嶋さんは9月24日放送の「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ、関西地区などで放送)に出演した際、処理水の海洋放出について「魚の形態が変わってくるんじゃないのか」などと発言。調査のために来日した国際原子力機関(IAEA)の関係者についても「来た人だって顔色悪かったじゃん」「全然元気なくて、こんなになってた」などと話し、手を胸の前で垂らす幽霊のようなしぐさをした。
 田嶋さんの発言は、交流サイト(SNS)で「風評被害を助長する」などと批判を浴び、読売テレビにも賛否両論が寄せられたという。

◆ホームページでは「諸事情により中止」とだけ
 放送3日後に事態を把握した区は、区長、副区長、担当者らで協議した結果、中止を決定した。同29日に委託事業者や田嶋さんのマネジャーを通じて中止の意向を伝え、「了承した」との返事を受け取ったという。
 区担当者は本紙の取材に「田嶋さんの思想や発言について侵害する意図はないが、風評被害で傷つく方がいるかもしれない。混乱を避けるため、開催は難しいと判断した」と説明する。

田嶋陽子さんの講演を品川区が中止決める 原発処理水巡る発言を受けて「混乱を避けるため」 有志が撤回要請(強調は引用者)

 当該発言は2023年にもなって……と思えるほど福島の処理水問題について無理解、かつIAEA調査スタッフの「表情や動作」に対する先入観に満ちた観察以外に根拠のない内容であり、この発言自体が批判の対象となるのは当然であろう。
 しかし無論のこと、男女共同参画とは何の関連もない発言である(強いて言えば、お前のどこが「偏見の壁を越えて」いるのかとはツッコむ余地はあるであろうが)。
 ただし、注意しておくべきは、この発言を受けて、品川区に「あんな奴に講演させるな」とクレームが殺到した……わけではないことである。
 田嶋氏の処理水発言が放映されたのが9月24日、区がそれを把握したのが27日、中止が29日である。またこの期間のXを確認しても、処理水発言に対する批判こそあれ、特に本フォーラムについての情報が共有されてクレームを煽る投稿がなされた形跡はなく、クレームをしたと名乗り出ている人も見当たらない。
 ただし皆無であったわけではなく、10月3日の品川区議会(決算特別委員会)においての質疑によるとクレーム自体は存在していた。なお掲示板にポスターが貼ってあっただけの時期に来たクレームであることから、区民によるものと人権啓発課長は答弁で推定している。
 また因果関係としてもクレームというよりも田嶋氏の発言の内容から判断し中止を決定したむね述べている。

 なお本件については、区民有志が中止の撤回を求めている。

 区民有志は今月6日付の文書で「政府の意に沿わない発言をしたことをもって、講師を断るのは言論・表現の自由を否定するものと言わざるをえない」と中止の撤回などを要求。有志の一人でクリニック医院長の松山毅さん(61)は「市民としてなぜ中止になったのか分からず、説明責任や情報公開の点で極めて問題。もし田嶋さんの発言で中止されたのなら、表現の自由にも抵触する」と訴える。

田嶋陽子さんの講演を品川区が中止決める 原発処理水巡る発言を受けて「混乱を避けるため」 有志が撤回要請


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