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【ぐんまちゃん(アニメ)】

 群馬県のマスコットである馬のキャラクター「ぐんまちゃん」を主人公に据えた、いわゆるご当地アニメ。群馬ならぬ「ぐんま」を舞台に、ぐんまちゃんと友人たちやハニワ族・イチゴ族などとの交流を描く。

 群馬のご当地アニメであるにもかかわらず、2021年12月12日放送予定であった第11話を、地元である群馬テレビのみが放送を見送り、第1話の再放送に差し替えとなった。

 問題となったのは第11話のうち、3本立ての2本目にあたる「ハニワボートレース」。
 先立って放送された第4話の1本目「おじさんとおでかけ」で、「競埴輪(ハニワレース)」が登場したことに放送倫理・番組向上機構を通して視聴者からのクレームがついたことにより、同様に公営ギャンブルの登場する11話を群馬テレビが自粛したもの。
 なお本作は群馬テレビ以外にもTOKYO MX、テレビ神奈川、テレ玉、チバテレ、とちぎテレビの関東各局のほか、関西圏のサンテレビやKBS京都でも放映しているが、自粛したのは群馬テレビのみである。

 なお該当クレームの本文はBPOのサイトで読むことができる。

【「低俗、モラルに反する」】
・県のマスコットキャラクターを主人公にしたアニメの中で、競輪で賭博するおじさんの話が出てきたが、この番組は早朝の子ども向けだというのに、賭博のやり方を指南するシーンがあった。子どもが賭け事をやりたいと言い出したら困るし、かけ方を教えるということは賭け事しろということと同等だ。競輪のシーンを出すくらいはいいと思うが、深夜アニメではないのだから、もう少し考えてもらいたい。これが知事の企画するアニメというのだからビックリ。

2021年10月に視聴者から寄せられた意見

 放送差し替えとなった「ハニワボートレース」のあらすじは以下の通り。

 おじさんに競艇・ハニワボートレースに連れて行ってもらったぐんまちゃん。おじさんは「帰りには大金持ちだ」と自信満々だが、すべて外してしまう。レースを見ているだけで楽しいぐんまちゃんに、失意のおじさんはこのままでは帰りの電車賃もなくなってしまうと帰ろうかと言う。しかしレース場にいた予想屋「ガンさん」を見かけ、彼の予想にすがって最後のレースにチャレンジする。
 ぐんまちゃんがガンさんに、予想は本当に当たるのか尋ねると「もし俺の予想が全部当たるなら、すごいお金持ちになってるはずだろ? 当たる時も当たらない時もある。どっちかというと当たらないことの方が多いかな。俺は夢を売ってるんだよ」と話すのだった。
 そこにおじさんが大慌てで戻ってきて、ガンさんの予想が的中したことを告げ、ハッピーエンドとなる。

 アニメ『ぐんまちゃん』は「イチゴ族」「ハニワ族」などが共存する架空の世界のお話であるが、仮に現代日本の法律を適用したとしても、作中のぐんまちゃんのように幼児であっても競馬場やボートレース場などに入場して一緒に観戦すること自体は、法律上まったく問題ない。公営ギャンブルで未成年者に禁じられているのは投票券(馬券など)の購入だけである。

 また、おじさん自身は予想を次々と外しており、ガンさんも自分の予想はあくまで当たりはずれのあるものだと明言するなどギャンブルのリスクは描かれている。またガンさんの予想に従ったレースではおじさんは当ててはいるものの、配当金がどれだけだったのか、損を取り戻せたのかも不明(電車賃がなくなると途中で言っているのに帰路描写は徒歩なので、結局ダメだったようにも見える)。
 目くじらを立てるほど射幸心をあおるような内容ではなく、ごく穏当にボートレースを楽しんだおじさんとぐんまちゃんの話である。見送ったのが群馬テレビだけであることに鑑みても、見送りこそ過剰反応と言えるだろう。

 群馬県知事の山本一太氏もこの対応を批判。
 同知事は群馬県がブランド総合研究所の「都道府県魅力度ランキング」で44位になったことに対し、調査のうえ公然と反論して話題となるなど、不当な言い掛かりと考えたことには黙しない人物のようである。
 氏は2021年12月28日、県庁仕事納め挨拶の際にこの対応に「おそらくアニメを見たことがないんじゃないか。鬼滅の刃もワンピースも。世の中のトレンドやアニメの捉え方へのバランス感覚が多分ない。おそらく表現の自由みたいなことを考えたこともない」「トップマネジメントの恐るべき感性の鈍さにぼうぜんとした」と批判している。

参考リンク・資料:

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