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【お父さん、これ気持ち悪い...】

※【アクセル・ワールド】【境界線上のホライゾン】からも転送されています。

2018年9月、当時シュナムルと名乗っていた(時々ハンドルネームは変えている)アカウントが投稿した、ライトノベルに対する差別的なツイート。

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 書店内で無断撮影されたとおぼしき添付写真には当時の新刊書『境界線上のホライゾン』Ⅺ<中>巻、『アクセル・ワールド』23巻などが映っており、娘(シュナムルの言によると8歳)の発言と称して「これ気持ち悪い」「抑圧」「暴力」という糾弾したもの。当時かなり反響があり、真面目な論議ばかりでなくその偏狭な価値観を笑う大喜利的な扱いや、逆に父親の偏った価値観を植え付けられる娘の将来を案じる声などで、大いに「バズった」ツイートであった。


 ちなみに子どもの意見を自称して自分の意見に説得力を持たせようとする行為はネットでは無数に観測され、有名なものではNGO団体代表が2014年に起こした「自称小4『どうして解散するんですか?』事件」などがあるが、このシュナムルという人物も相当うさんくさく、食事の写真などから実際は独身者であると疑われている。
 事実、このあと半年もしないうちにシュナムルは2匹目の泥鰌を狙ったか、こんなツイートをしている。

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 何がおかしいのかというとNetflixには一般とキッズモードがあり、キッズでは『斉木楠雄のΨ難』は見られないからだ。もし本当に彼に娘がいて、上記のような価値観の持ち主なら、キッズモードを解除した大人向けを娘に見せて放ったらかしているとは考えにくい。
 おそらく自分で勝手に大人向けで見ていて、キッズモードで見られるのかどうかの確認を怠ったまま、脳内娘に仮託したアニメ叩きを垂れ流したというのが真相だろう。

 しかし、それは事後に分かってきたことである。
 実際にはこの発言を巡ってなされた口論は「誰かがオタク文化の表現を気持ち悪がるとき、オタクがその表現を隠さなければならないのか」ということを巡ってであった。
 つまり「誰かが不快になる表現は隠すべきか、互いに不快さを我慢し合うべきか」ということだ。
 もちろん表現の自由の観点からは、当然後者に軍配が上がることになる。
 そこで嫌オタク側の論者は、件の娘の発言を神聖化し「気持ち悪くさせられた被害者」として祭り上げようとした。以下のツイートが典型である。

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 小学生女児という属性の「叩きづらさ」を利用しようとしたわけである。

 笑わせてはいけない。
 オタク達にも小学生の頃はあったのだから「小学生の女児がオタクなど『クラスの社会的地位の低い男子』をキモい呼ばわりする時、悪意で言っているか傷付いているか」なんて誰だって知っている

 100パーセント悪意しかないわ、そんなもの。

 この「女児のキモイ発言」を巡る論争を通じて、「オタク」と呼ばれる人々の間で、ひとつの共通認識が言語化されてきたように思われる。
 それは1980年代の宮崎勤事件以来、一般社会から「オタク」に向けられてきた「キモい」「気持ち悪い」という言葉の欺瞞性である。一部の人には以前から認識されていたことだが、これらの言葉は「自分の気に入らない、攻撃したい相手」を「自分の気分を悪くした加害者」にすり替えて叩き、被害者と加害者を逆転させる。そんな卑劣で悪意に満ちた言葉だということだ。

 そしてその卑劣なレッテルに対しては、たとえ相手が「小学生の女の子」という叩きづらい属性を誇示してきたとしても、自分達は論争で十分に戦えるのだという自信である。

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