[読書メモ]『あなたの人生を変える歯の新常識』(田北行宏)

p4
[フィンランドは] 予防にシフトしたことで虫歯治療にかける医療費が減っていき、結果的に医療費全体の節約になったのです。

p5
虫歯は治療するより予防したほうが健康面でも経済面でも、われわれにとって効率的ということだったのです。

p8
歯の健康を経済的側面からみれば、歯・口腔内が健康で虫歯や歯周病がない人は、医療費にして3200万円も得をしているという試算があります。/歯1本の価値は100万円という説があり、人間の歯は親知らずも入れると全部で32本ありますから、総額でざっと3200万円となるわけです。

p10
日本の歯科医療は保険制度の制約もあり、予防歯科に十分にお金をかけてきませんでした。

p20
アメリカスタンフォード大学の研究チームによって行われた調査によると、アメリカでは上位1%の富裕層の平均寿命が、下位1%の貧困層より10年以上長いという結果が出ています。

p21
男性の場合、所得200万円未満では肥満者の割合が38.8%、600万円以上の人は25.6%です。

p42
日本では予防歯科がまだ普及しておらず、悪くなったら治療するという考えが一般的です。歯科医の間でさえ治療医学が主流ですから、これはいたし方のないことかもしれません。

p51
本田宗一郎さんは「病院は患者さんをもてなすホテルのようでなければいけない」とおっしゃっていましたが、日本歯学センターのコンセプトも、まさにそれでした。

p55
こうやって親から子へ、子から孫へと歯の健康意識が伝えられていけば、家族全員が健康になれます。

p57
人はしゃべっている人の口元を無意識のうちに見ています。口元はあなたが思っている以上に相手に見られているものなのです。

p64
いま国をあげて取り組んでいるのが「健康寿命の延伸です。寿命の長さだけではなく、自立して生活ができ、寝たきりや介護を受けたり、入院をしない期間、いわゆる「健康寿命」を延ばそうという取り組みです。

p83
ストレスは記憶を司る海馬の萎縮をもたらすことがわかっています。これはPTSD(心的外傷後ストレス障害)のベトナム帰還兵の調査で知られるようになったことですが、ストレスにさらされる期間が長ければ長いほど、海馬の萎縮がすすみ、記憶力の低下が見られます。海馬萎縮が長く続くと、認知症の原因にもなります。

p92
ギネスブックには歯周病が世界ナンバーワンの感染症に認定されています。

p102
歯がよくなると精神面でもよい効果が出て、前向きになっていく方も多くなります。

p107
心臓病は日本人の死因の2位ですが、アメリカでは死因トップは心臓病です(アメリカの死因統計によると第1位は心臓血管疾患、2位はがん、3位は慢性呼吸器疾患)。

p167
実は、口の中というのは、病気や怪我にとても強い組織です。歯の表面のエナメル質は、強度でいうと鉄以上に硬い。また、口の中の歯肉や粘膜は硬い食べ物で傷がついても、みるみる治っていきます。/たとえば、親知らずを抜いたときには、直径1センチメートルの骨が見えるほどの大きな穴が開きますが、数日で出血は止まり、2週間も経てばそこは粘膜ですっかり覆われます。

p171
骨は約1ヵ月に1ミリメートルずつ再生することがわかっています。インプラント用の骨の再生には、約6ヵ月が必要です。

p176
スウェーデンでは国をあげて虫歯の撲滅運動に取り組んだときに、「土曜日にはキャンディーを」という標語を掲げました。原文では「Lördags godis (ラールダグス グディス)」です。/虫歯予防のためには甘いお菓子は食べないほうがいいのですが、子どもはキャンディーなどの甘いものが大好きです。成長するために体がカロリーを求めているでしょうし、甘味は心の安らぎにもなります。それをまったく禁止するのではなく、土曜日になったら親と一緒にお菓子を買いに行くのです。親に決められた金額で、買える限りのキャンディーやチョコレートを買い、日曜日の夜までに買ったお菓子を好きなだけ食べて、残ったお菓子は没収します。そして、次の土曜日までは甘いお菓子を我慢するわけです。

p186
アメリカではC先生のような歯科医はスーパーGPと呼ばれています。GPはジェネラルプラクティショナーという意味です。ひとつの分野、たとえば補綴(入れ歯や詰め物などで歯の欠損を補うこと)とか歯周病だけの専門ではなく、口腔内すべてを診る専門医です。

p189
予防と衛生教育を徹底し、フッ素やキシリトールを併用する。それほどお金がかからず、大掛かりな設備や機械も必要のない費用対効果の高い、たいへん賢い方法を[フィンランドは]とったといえるでしょう。

p191
フィンランドにできたことが、日本でもできないはずがありません。

p197
スウェーデンとは社会的背景の違う日本では、歯科衛生士はある年齢になると辞めてしまい、古い人はあまり残らず若い人ばかりです。10年間同じ職場に勤務する歯科衛生士は5%といわれています。

pp212-213
統合医療を提唱し、日本統合医療学会を設立した東京大学名誉教授の渥美和彦先生は、これからの医療は「予防医学」、お金をかけない「エコ医療」、自分で健康を守る「セルフコントロール」が重要になるとおっしゃっています。

p216
医療者は専門知識をもっていますから、どうしても患者さんを上から一方的に診断しているような錯覚をしてしまいます。しかし、私がいつも感じていることは、患者さんも医療者を見て、審査しているということです。/歯科医は患者さんを治療してよい方向に誘導しますが、よい患者さんに囲まれた歯科医もまた、成長するのです。いわば、よい歯科医はよい患者さんによって育てられるということです。

p217
あちこち汚れた診察室で、歯科医や歯科衛生士がいくら歯を磨きなさいといっても、素直にそれを実行できるでしょうか?

p220
診療報酬は日本全国均一ですから、物価の高い大都市と地方も同じ金額です。


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