”The Novembers” Release Tour 2024


 最後にThe Novembersのライブを観てから、気づいたらもう5年が経っていた。どうしてその間見に行っていなかったのかは何故かあまり覚えていないのだけれど、去年の4月にリリースされた「かなしみがかわいたら」という曲を聴いた時は、もう解散してしまうのではないだろうかと一瞬思ったりもした。その頃は新作もしばらく出ていなかったタイミングでもあり、割と感傷的なムードが漂う楽曲に対しての勝手な印象というか、ある種のショックを感じたのは今でも思い出せる。だからこそ、その年の終わり頃に出た新作”The Novembers”には驚かされた。小林の歌声が力強く中央に据えられ、アレンジも今まで以上に緻密で、かつストレートな芯の強さが感じられたからだ。落差があった分、しばらくは聴くたびに涙を流していたほどお気に入りのアルバムになった。

 とまあ、そんな流れもあって、しかもたまたま都合の良い日だったこともあり今回のワンマンを観に行ってきた。先述した新作を聴いた時点でなんとなく分かってはいたけれど、もうそこにはかつての耽美で儚いリヴァーブとディレイのベールに雲隠れしていくような脆さ(もちろんそれはそれで素晴らしかったのだけれど)はなくて、とにかく身体性に訴えかけてくるかのような芯が太く、筋肉質でありながらも同時にセクシーな音像が繰り出され続けた。自分はとにかく終始頭を振り続けながら聴いていたので、あのリキッドルームの空間の中ではギターのケンゴマツモトと自分の頭を振っていた回数はほとんど同じだったのではないかとも思う。

 5年ぶりということではあったけれど、ノスタルジーに浸る隙は一切なかったのがまた驚きであり、新しいなにかが始まっているのだろうなというバンド内のムードが存分に感じられた。帰り道、耳鳴りのノイズだけが懐かしかった。

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