詩の鑑賞・牡羊座;宮沢賢治

今回は牡羊座の詩人について考察(あるいは鑑賞)していきたいと思う。
と、一言に牡羊座の詩人と言っても、ホロスコープで牡羊座が関わっている詩人は何故か数が多いため、一部の、また筆者のお気に入りというか、知ってもらいたい詩を紹介する。

心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲模様
           宮沢賢治『春と修羅』

宮沢賢治は、今でこそ童話作家として有名だが、昔(大正・昭和くらい)は詩人として有名だったし、ファンも多かった。詩壇の天才とか言われたこともあったらしい(草野心平談)
出生時間は以下の通り
1896/8/27   12:00(出生時間不明)

宮沢賢治の太陽は乙女座だが、月星座は牡羊座(確定)である。
童話には乙女座の太陽がよく出ているが、詩には牡羊座の月や双子座の火星がよく出ている。
上記した『春と修羅』の詩はこの後、こう続く。

いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
唾し はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』『雨ニモマケズ』などから利他的で自己犠牲的な宗教者、またはストイックで穏やかな求道者のイメージが広まっているようだが、詩ではまた違う顔を見せる。
この『春と修羅』では特に、自分の中の、どうしようもないほどの怒りや強いエネルギーを持て余しているのが伝わってくる。インドの好戦的な神である「修羅」という言葉を使っているのが、印象に残る。
さらに、この詩はこう続く。

まことのことばはうしなはれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

ちょうど今頃の、太陽の光のような詩で、これを見るたびにああ若いなあと思うのである。筆者は牡羊座の文学者が全体的に好きだが、この若々しさ、そこから来る無謀さ、強さを眩しく感じる。

宮沢賢治の詩は大自然の景色について書いた、乙女座らしいものが多い。そのため、素朴なイメージが持たれていると思う。
が、たまに妙に叙情的だったり、抽象的だったり、『春と修羅』のように気の強さが見える詩がある。
火星は双子座で、しかも乙女座の太陽とスクエアしている。双子座の火星はとっつきやすそうに見えて、実はかなりの反骨心を持ったファイターである。なので、本当は意外と気が強いし、目的のためには他人とぶつかることも辞さない強さがある。それを考えると、かなり葛藤の多い人だったのではないかと思う。

『春と修羅』は青空文庫なら無料で読むことができる。下はKindle版。

どうやら、書籍では出ていないらしい。童話の方は児童文庫や絵本でやたら出版されているというのにである。詩人としての宮沢賢治は認知度が低さがよくわかる。童話はたくさんあるが、詩は2冊しか出てないというのもあるかもしれない。
この辺りは双子座や乙女座は散文より韻文が得意で、児童文学作家の多い牡羊座の月の影響かなあとも思う。


個人的には、童話よりも詩の方が宮沢賢治の本心というか本性がよく現れている気がして好ましいので、もっと詩人・宮沢賢治の知名度が上がって欲しいのだが。

2020/04/19

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