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法人を起業する際の「銀行口座開設」。ネットバンク開設も年々難しく。

一人会社の起業塾(銀行口座タスク)』に記述している通り、当社では、「ネットバンク系」と「ネットバンク系以外」の銀行口座をそれぞれ1つ、合計2つの銀行口座を開設することを推奨している。

今後、ネットバンクによるサービス拡充の流れが加速すると考えられる中、創業時の銀行口座の選択について、その内容を深堀していきたいと思う。


(1)ネットバンクとネットバンク系以外の2行以上の複数の銀行口座開設を推奨

前述の通り、「ネットバンク系」と「ネットバンク系以外」の銀行口座をそれぞれ1つ、合計2つの銀行口座を開設することを推奨。
その理由は、ネットバンクの利点(24時間いつでも利用可能、振込手数料が相対的に低い、口座開設期間が相対的に短い など)と、ネットバンク以外の金融機関の利点(対面業務や相談業務 など)を双方享受するためである。

他方で、ネットバンク系の最も大きなデメリットとして、税金や公共料金の支払いに対応していないケースがあるという点が挙げられる。
例えば、インターネット(オンライン申請)で一連の税務申告手続きが完了したのちに、税金支払についてはコンビニに出向き税額を振込むといったケースでは、オンライン申請の価値が半減しかねない。
この点、GMOあおぞらネット銀行による、「ネット銀行初 ダイレクト納付に対応」にあるように、ネットバンクで不便と感じていたデメリットが徐々に解消されつつあり、一人会社の最初の銀行口座開設の入口として、よりネットバンクの存在価値が高まってゆくと考える。

GMOあおぞらネット銀行からの通知(2023年4月6日)

(2)銀行口座開設は難しいケースも多い。その理由は?

① 銀行口座開設が"ラスボス"である所以

会社設立や営業活動開始までのタスク実施の流れはケースバイケースであるものの、各タスクの進め方には、一定の「型」(標準ケース)が存在する。
今後、「標準ケース」については改めて解説を行いたいと思うが、起業~営業前タスクを最低限のタスクに限定し順序だてて実践しようとする場合、最終ゴールが、「銀行口座開設」となるケースも多い。一方、銀行口座開設までに予想以上の時間を要する場合や、結果的に銀行口座開設が出来ないケースなど、躓く方が多いのが現実。

このように、銀行口座開設が"ラスボス"となり、そしてラスボスのレベルが近年上がっている印象を受けている。

無論、時間をかけて様々な準備を実施し会社設立を行ったとしても、銀行口座を開設できないと事業活動を行うことはできず、銀行口座開設と同じく事業活動で必要なクレジットカードについても、銀行口座が無ければ作成することはできない。
そして、銀行口座開設が一度否認されると、その後の口座開設のハードルが上がるため、十分な対策を講じて取り組むべき課題の一つである。

② 金融機関に対する規制強化

昨今、マネーローンダリングの温床として銀行口座が利用される事例も増えつつあるなど、金融機関としては当然にコンプライアンス強化など内部統制への対応が必要である。こういった背景から、事業実績がないケースが多いためその実態が不明瞭になりがちな創業期の銀行口座開設へ悪影響が及んでいるものと考えられる。

③ 銀行口座開設前に攻略すべき"中ボス"

例えば、オフィス選定や、会社ホームページ制作などが、銀行口座開設前に攻略すべき"中ボス"として捉えられる。
この"中ボス"たちをただ闇雲に攻略するのではなく、銀行口座開設という"ラスボス"を攻略するために必要な過程と捉えた上で攻略する。

例えば、オフィス選定に際して"バーチャルオフィス"を選定する場合、「初期費用最小化」という観点だけではなく、「確たる事業拠点がなく、銀行口座開設時の審査で不利になる可能性がある」と認識した上で、オフィス選定タスクを攻略するといった具合である。

このように、各自の置かれている状況も勘案しつつ、各メインタスク実施時に、銀行口座開設時に考慮すべき視点を考慮しながら実施することで、スムーズな銀行口座開設の可能性を高めることができる。

(3)銀行口座開設のために、今実施すべきこと

また、現在起業準備中ではないが、将来起業したいとぼんやりとでも考えている方にお伝えしたいことは一つ。
それは、「個人としての信用棄損」が極力無きよう努めることである。
銀行口座開設において実施すべき業務については、後からでもリカバリー可能な内容も多い一方で、税金滞納やクレジットカード払いの遅延など、一度棄損した個人の信用を回復するのは難しい場合が多く、将来の「起業」の選択肢を狭める可能性があるため、日頃から留意が必要である。

(4)よりよい創業環境に向けて

今後、一定要件を充足した潜在起業家に対する銀行口座開設や融資時の優遇措置など、創業をより身近にスムーズに実施できるように、国や金融機関が実施すべき支援の拡充が求められるだろう。
また、一人会社社長にとっても、"中ボス"で如何に"ラスボス"を意識できるかが、起業準備のキーポイントの一つとなり得るであろう。

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