遺失物取扱所

今日、遺失物取扱所に拳くらいのゼリーみたいな球体が届いた。届けてくれた人は不気味なものを触るようにそれを届けると足早に去っていった。その球体は、初めの方はぷるぷると小刻みに震えていたがこちらが触れようとすると石のように硬くなった。こんなものは見たことがない。だけど不思議と惹かれる。そんな落とし物だった。
それから1週間が経つと、球体は私が近づいても石のように硬くなることもないし小刻みにぷるぷると震えることもなくなった。それどころか、私が仕事をしているところころと転がって私の方へ近づいてくることもあった。
そんな球体との日々もようやくなれてきた頃に、20代くらいのひょろりとした男性がやってきて、こう言った。
「すみません、こちらに“こころ”が届きませんでしたか?」

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