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海に向かう【海ガメ】

屋久島物語その⑧〜力強い生命〜

産卵された場所で見守ること、

しばらく。

観察員の方が、

変化に

気づいた。

孵化した海ガメが

次々に砂を押し除けて

出てくるそうだ。

確かに砂が少し、ほんの少し

動いていることがわかるようになった。

時間がどれだけ経ったかなど

全く気にならない。

見逃したくない一心だった。

地表の砂が崩れて、

黒いアタマが見えた。

そこからは早かった。

1匹出たのを皮切りに、

2匹、3匹と続いて出てきた。

観察員の方は、孵化した海ガメを

桶に入れ、安全に海に放すようだ。

桶というアナログさに笑ってしまったが、

海に辿り着く前に捕食される危険が

あるので大切にされている証拠なのだろう。

観察員が私たち、見ていた数人に

話しかけてきた。

はい?

手を出して?

ナニ?

私が

海ガメを放すの!?

どこまでフレンドリーなんだ。

野生動物を素手で触っていいの?

海ガメの保護、緩くない?

そんな心配をこちらがしてしまった。

そんな中、女子大学生のグループは

大盛り上がり。はしゃぐはしゃぐ。

すごいサービスに驚きつつも感謝。

手に持たされた海ガメは、

とても力強く動き回る。

貴重な体験ができた嬉しさと

海ガメを、

大切に扱わないとという思い。

波打ち際にしゃがみ込んで、

手のひらから、

解き放った。

その⑨につづく。

※注意

私たちは、

観察員の指示に従って、

観察を行いました。

砂浜を不用意に歩かない。

ライトを付けない。

などのルールがあります。

海ガメが安心して産卵できるよう

島の方々は努力されています。

観光客の行動は、

知らず知らずのうちに

海ガメの負荷になることを

自覚する必要があります。

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