喉越しクールなサマーハイスクール

A「夏ですよ夏!そして僕の喉はサハラ砂漠のようにカラッカラです本当にありがとうございました!」
B「なるほど夏の日差しにやられたティーン・エイジャーですか、帰ってどーうぞ。」
A「え?何それひどくない?どしたの?何で初手からスーパードライ?乾くのは僕の喉だけで間に合ってるよ?」
B「真夏馬鹿はお前で十分、ほら、さっさと自販機行って来い。んでもって俺のメッツも買ってこい。」
A「まさかのパシリの追加で僕の顔真っ青、財布はスッカラリンじゃないですかヤダー。」
C「なーに男二人で馬鹿やってんの?馬鹿な事?馬鹿な事なんでしょ。」
A「君こそ唐突に何なの?いじめなの?いじめなんでしょ!?僕らにだって傷つく心があるんだからね!!」
B「全くもってその通りだ!こいつはともかくとして俺はまあまあ成績優秀なんだぞ!」
A「あちゃー、やっぱり?やっぱ裏切るよね!そうだよね!こんちきしょう!!」
C「あー、たしかに、それはあるよねぇ。ごめんなさい。」
A「おっと何で素直にそこ謝っちゃう?あとなんで露骨に僕の方を見てくれないの?終いには泣くよ!?」
C「それで?結局何の話しをしてたの?」
A「えー、無視ですかそうですか。」
B「いやこいつがいきなりノドが乾いたとか言ってきてな。」
A「君もアレか、僕をスルーして、話しを進めちゃう的なやつか!」
C「なんだ、思った以上にしょーもない。」
B「だろ?」
C「まったくね。」
B「ところで、この前のテストのことなんだけどさ。」
C「ああ、あの簡単だったやつのこと。」
B「まじで!幾つか解けない所があったんだけど。」
C「貴方って何時も詰めが甘いよね。」
B「問四のあそこなんだけど……。」
C「ああ、あれね、あれは……。」
A「ヘイヘイヘイチミたちぃ!!」
B「何だようるさいな。」
A「ちょっ、ひどくない?ここまで来ると唯のいじめだよ?ねぇわかってる?」
B「わかった、分かったってば!だ、だからおま、涙と鼻水を擦り付けようとするなって!」
C「やっぱあれだね、男同士で抱き合ってると暑苦しいね!」
B「君と変わって涼しくなるって言うなら喜んで変わるけど?」
C「えー?やだー、汚らわしい。」
A「チーミーたーちぃー!!」
B「ああごめん、悪かったって。で?どうしたって言うんだよ。」
A「……こほん。あのだね、チミ達。僕はね。喉が乾いたのだよ。」
B「知ってる。」
C「知ってた。」
A「ですよね!だってさっき僕言ったもんね!」
C「それで結局どうしたいの。喉が乾いてるだけならさっさと買ってくればいいじゃん。私ペプシはだから宜しく。」
A「チミもか!……えーまぁ、そうなんだけどね?でもね?あのね?」
B「早く言わないと全力ビンタな。」
A「は、はいっ!言います!何と僕財布の中に飲み物一本買うお金がありません!」
B「……は?」
C「……あーなるほど。」
A「えへへ、ってことでさ。お二人さん、お金かしてくれない?」
B「お前……それだったらさっさと言えばよかったろうが。」
C「そうだよ、さっさとこの卑しい私にわずかばかりのお金をお恵みください、お願いしますー!!って土下座したら良かったんだよ。」
B「加えて、お二人のためなら、フヘヘ、喜んで靴を舐めますーっ、って言って足に頬をすり寄せたらGoodだな。」
A「Good でもWonderfulでもないよ!どれだけ僕奴隷根性しみついてるんだよ!酷いよ!それが友達にすることかよ!」
B「だって……。」
C「ねぇ……?」
A「あーもうわかったよ、やるよ、全部やるよ、
やれば良いんでしょ!?」
B「おっと、冗談、冗談だよ。そうだろ?」
C「そうだよ、冗談冗談っ!何時もみたいにからかっただけ。」
A「冗談ていったってねぇ……きみたちさぁ……。」
B「ははっ、悪かったよ。詫びに俺たちが飲み物買ってきてやるからさ。」
A「え?ほんと?ほんとに?やったぜ!」
C「直ぐ喜んじゃって現金なんだからなぁ。」
A「これでこのサハラ砂漠から抜け出せる!」
B「全く仕方のない奴……。ま、いいか。じゃあ行くか親友!」
C「本当にね。じゃあ生きましょうかマイペスとパートナー!」
A「…………。あいつらってめちゃくちゃ仲良いなぁ。親友!だとかマイベストパートナー!だとかさ。いやはや、仲良きことは善き哉善き哉だよねぇ。……あれ?僕そんなこと言われたことあったっけ?……いやいやいや、僕とあいつらの仲だぜ?言われたことがないなんて事、あるわけないよな!……ないよな?いや、まてよ。万が一、億が一、もしかしてもしかすると、僕ってそんなにあの二人と仲良く、ない?……あはは~、ないないない。ないにきまってる。だって、僕のために飲み物を買ってきてくれるんだよ?ってことはそういうことだもんね!そうに決まってる!!」
B「戻ったぜ相棒!」
C「またせたね、マイベストフレンド!」
A「君たちのそういう全部見透かしてる感じほんと大好き!」
B「早速これをぐいっといっちゃってくれ!」
A「よしきた!ぐいっと一杯……って、これ、ナニ?」
B「え?見てわからない?」
A「いや、うん。見て分かるっていうか、わかりたくないっていうか。」
B「テキーラ。」
A「そうだよね!やっぱそうだった!だってでかでかとボトルに書いてるもんね!くっそ認めたくなかった!!」
C「早く一気飲みしなよ。」
A「嫌だよ!死ぬよ!アル中まったなしだよ!」
C「大丈夫だって。ほら、いっき、いっき!」
A「ばかなのっ!?……ってかなんでお酒なんか買えたのさ!」
B「俺がレジ行ったら余裕で買えたぞ。」
C「まぁ、誰が見ても十代の顔してないからね。私も安心してレジに送ったよ。」
A「いや止めてよ!いけても行かせちゃだめでしょ!これバレたら大目玉だよ!」
B「そこは、まぁ、お前が男気見せてくれたら証拠はなくなるわけだから、さ。」
A「だから無理だよ!しかもよりによって君、一番でかいボトル買ってるじゃないか!一番小さいやつだったらまだしも……。」
C「まったくうじうじしちゃって……大は小を兼ねるっていう言葉を知らないの?」
A「それくらい知ってるよ!知ってるけどもっ……!」
C「なら感謝して飲めばいいじゃん。」
A「感謝は!……してるけどもさ。うん。僕の為にかってきてくれたしね?でもさ。でもさでもさ。これ焼けちゃうじゃん。カラッカラの大炎上じゃん。僕の喉災害どころじゃなくなるじゃん……。」
B「しょうがないなぁ。これは俺が処理しておくか。まったく、これだから……。」
C「ここで男の一つ見せないあたり、ほんと、これだから……。」
A「ひどくない!?まじで君たちひどくない!?」
B「ひどくないひどくない。」
C「優しい優しい。」
A「何一つ優しいことなんてないよ!僕の心は何時になく荒んでるよ!荒野の中でひとりぼっちだよぉ!!」
C「しょうがないなぁ。はい、これ。」
A「え、あ、うん。ありがとう。……これは?」
C「お汁粉缶」
A「そうだね、お汁粉だね、なんで?」
C「絶対私達にツッコンデ疲れると思うから、糖分がほしいだろうなって。」
A「なるほど、僕のためだと。」
C「うん。優しいでしょ?」
A「いや鬼畜だと思う。」
C「うわひどい。泣いちゃうよ?」
B「せっかく気をきかしてくれたってのに、其の言い方はないだろー。」
A「じゃあさ。」
B「なんだよ。」
A「喉がカラッカラの時にお汁粉渡されたらどう思う?」
B「馬鹿かよって思う。」
A「だろー?そうだろー?」
B「確かに。」
C「確かに。」
B「お前って嫌な奴だったんだなー。このこのー。」
C「ば、ちょま、やーめーてーよー。ゴーメーンーてー。」
A「なんなんだよこの茶番は!」
B「そら。」
C「ねぇ?」
A「君たちってやつはぁ!」
B「悪かったって、ほら。」
A「え?」
C「水だよ、水。」
B「ちゃんとした物も買ってきたから許してくれって。」
C「私からも。ごめんね?」
A「……なんだよ、怒るに怒れないじゃん。」
B「お前の反応見るとついやりすぎちゃってさ。」
C「正直やりやりすぎたとは思ってる。」
A「いいよ、別に。実を言うと、ちょっと楽しかったしさ。」
B「そっか、ならよかった。」
C「いやー、よかったよかった。ってことで。」
B「はいこれ。」
A「は?」
B「今日買った分のレシート。」
C「後でちゃんと返してねー。」
A「……君たち、やっぱり大嫌いだ!」

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