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TKA後は低インパクトスポーツへシフトする

本日の論文は、2022年にAlberto Ventura先生らが執筆され、Int J Artif Organsに掲載されたものです。調査された地域はイタリア・ミラノです。こちらの論文を要約し、批判的吟味をしてみました!

Introduction

本研究の目的は初回TKA患者を対象に、スポーツ復帰状況、活動レベル、満足度、身体機能アウトカムを、最低2年、追跡調査することとした。仮説はTKA患者のほとんどの者がアマチュアスポーツやレクリエーションレベルの活動へシフトするとした。

Methods

対象は2014年から2016年にTKAを施行された109名とした。包含基準は膝OAにより初回TKAを受けた者、年齢は55-90歳、最低2年フォローアップできた者、化膿性膝関節炎でない者とした。UKAやRevisionの患者は除外した。全例、同一の整形外科医が執刀した。インプラントタイプは、PSタイプ(Vanguard, Complete Knee System)、セメントタイプとした。リハビリプロトコルは、術後翌日からリハビリ開始、術後4週までは両松葉杖とした。患者にはアルペンスキーのような激しい活動は控えるよう指示するのみで、その他に活動量を制限するような指示は出さなかった。アウトカムは、術前・術後のKOOS、IKDC、VAS、Tegner Activity Score、参加しているスポーツのインパクト強度とした。統計解析は、術前と術後の比較をするためにウィルコクソンの順位和検定を用いた。

Results

対象は97名(平均年齢70.1(範囲64-83)歳、平均フォローアップ期間4,1±1.1年)であり、そのうち術前にスポーツを実施していた者は64名であった。KOOSスコアは術前49.5±6.4/術後84.6±4.9点、IKDCスコアは31.2±5.7/87.5±6.4点、VASは6.5±2.5/3.8±1.1であり、有意に改善した。Tegnerスコアは3/4点であった。参加しているスポーツの種目数は、0種目:術前人数33名(割合34.0%)/術後43名(44.3%)、1種目: 50名(51.5%)/44名(45.4%)、2種目: 12名(12.3%)/ 8名(8.2%)、3種目以上: 2名(2.1%)/ 2名(2.1%)であった。インパクト強度別の参加者は、低インパクト(サイクリング、水泳)は術前23名/術後27名、中インパクト(ハイキング、ジョギング)は32/26名、高インパクト(スキー、ダンス)は13/6名であった。

Conclusions

膝OA患者に対するTKAは、高い割合で術後にスポーツ復帰させることができ、疼痛や身体機能アウトカムを改善させる。しかし、術後にスポーツ復帰した者のほとんどが、中・高インパクトスポーツから低インパクトスポーツへ移行していた。

Critical Appraisal

  1. 包含基準に化膿性関節炎がない者とあるが、除外基準では?

  2. アルペンスキーがダメと言われたら、それ相当のスポーツは控えるだろうと想像できる。

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