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UKA高齢患者のスポーツ復帰状況

本日の論文は、2020年にRocco Papalia先生らが執筆され、Journal of Clinical Medicineに掲載されたものです。こちらの論文を要約し、批判的吟味をしてみました!

Introduction

本研究の目的は①活動の種類に注目して、UKA患者のスポーツ復帰(Return to Sports: RTS)状況を明らかにすること、②UKA患者の身体機能アウトカムを明らかにすることとした。

Methods

研究デザインはシステマティックレビューとした。論文のPICOは、対象を65歳以上の高齢者、介入をUKA、対照をTKA、アウトカムをRTSの割合と身体機能アウトカムとし、ランダム化比較試験・コホート研究・ケースコントロール研究・ケースシリーズの論文を取り込んだ。症例報告や過去のレビュー・メタアナリシス、基礎研究は除外した。データベースは、Medline、Cochrane central、Scopusとした(検索期間の詳細は不明)。論文の選定作業は、2名で行い、コンセンサスが得られなかった場合は第3者を交えて議論し解決した。論文のバイアスリスクのチェックはMINORS(非比較試験0-16点、比較試験0-24点で採点)を用いた。UKA後のスポーツ復帰割合、UKAとTKAで比較したスポーツ復帰オッズを統合するために、メタアナリシス(ランダム効果モデル)を実施した。また、出版バイアスを評価するために、ファンネルプロットを描き、目視で確認した。

Results

検索された447編のうち、2008年から2018年に出版された10編(前向きコホート研究2編、後ろ向きコホート研究6編、ケースシリーズ2編)が取り込まれ、そのうち6編がメタアナリシスされた。UKA後のスポーツ復帰割合は0.86(95%CI: 0.78-0.94)であった。種目ごとの復帰割合は、ハイキング0.83(0.68-0.99)、サイクリング0.97(0.91-1.00)、水泳0.90(0.76-1.00)、アルペンスキー0.60(0.21-0.99)、フィットネス1.00(0.93-1.00)、テニス0.17(0.02-0.31)であった。UKAとTKAで比較したスポーツ復帰のオッズ比は2.14(1.29-3.55)であった。UKAの身体機能アウトカムは、総じて術前よりも術後の方が良くなるが、活動レベルは術前と同等であった。UKAとTKAの身体機能アウトカムを比較し、UKAの方がよいと報告した論文は3/4編、有意差なしと報告した論文は1/4編であった。論文バイアスは非比較研究で10点(7-12)、比較研究で15点(12-17)であった。ファンネルプロットを目視検査した結果、左右対称ではあるものの低~中程度の出版バイアスがあると判断した。

Conclusions

UKAは高齢者が低強度のスポーツに復帰するために有効かつ信頼できる手術のひとつである。スポーツ復帰する可能性は、TKAよりもUKAの方が高いことが明らかになった。

Critical Appraisal

  1.     方法論的には問題なさそう

  2.     2008年から2018年の間に医師が許可するスポーツにも変化が生じていると思われる

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