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TKA後のスポーツ復帰時期はいかに!?

本日の論文は、2022年にA Magan先生らが執筆され、Arch Orthop Trauma Surgに掲載されたものです。こちらの論文を要約し、批判的吟味をしてみました!

Introduction

本研究の目的は、TKA後のスポーツ復帰(Return to Sports: RTS)の割合と時期を明らかにすることとした。TKA患者に対してRTSの時期を含めてリハビリテーションの方向性を適切に説明することは、患者の意思決定を促す上で必要であり、患者の期待を適切にマネジメントできるだろう。

Methods

研究デザインはシステマティックレビューとした。初回TKA患者を対象にRTSの時期が明記されている論文を取り込んだ。再置換術後患者・UKA患者を対象とした論文、レビュー・抄録のみ・RTSについて記載がない論文は除外した。リサーチクエスチョンは、対象をスポーツに参加していた膝関節炎を呈した者、介入をTKA、対照を該当なし、アウトカムをRTSとし、検索キーワードを作成した。検索データベースはPubMed、MEDLINE、Embase、コクランライブラリを用いた。検索期間はデータ公開日から2020年10月までとした。論文の質の評価はMINORSを用いて、2名の査読者が行った。コンセンサスが得られなかった場合は、第3者を交えて議論し解決した。アウトカムはRTSとした。統計解析は、統合されたRTSの割合を算出するために、固定効果モデル、もしくはランダム効果モデルを用いた。

Results

キーワードで検索された1691編のうち、9編が取り込まれた。非比較研究は6編(MINORS 平均11/16点)、比較研究は3編(MINORS 平均15.7/24点)であった。RTSの人数と割合は、術後3か月で26/148名、18.7(8.2-32.3)%、術後6か月で191/266名、70.3(48.0-88.4)%、術後12か月で104/123名、84.0(77.1-89.9)%、術後24か月で212/242名、87.3(82.8-91.2)%であった。最終フォローアップ時点でのRTSの割合(統合された結果)は0.88(0.81-0.94)%であった。
 復帰した種目のほとんどは、水泳、ウォーキング、ゴルフ、サイクリング、ダンス、ボーリング等であった。Ho et al.は、術前にハイインパクトスポーツ(例:ダンス、バスケ、ジョギング、スキー)に参加していた32/39名のうち、術後に復帰したのは13/39名に留まったと報告した。また、Walton et al.は術前にテニスをしていた11名のうち、術後に復帰した者は2名(18.1%)のみであったと報告した。

Conclusions

TKA患者のほとんどが短期間でRTSすることができる。時間の経過とともに、RTSの割合も増加することが明らかになった。

Critical Appraisal

  1. PICOが成立していない(PICOにできないのでは?)

  2. 方法論的には問題なし

  3.  医療者側がどの程度のスポーツを許容したかがカギになるだろう

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