本や映画を拠り所にしたマッチング会について考えたこと。

 某読書会形式マッチングで「39歳以下限定『チェンソーマン』全巻を課題本にしたオンライン読書会」が開催されるようで、一瞬興味を持ったが、そもそも『チェンソーマン』はあまりに人気があり、ちょっと漫画が更新されればたちまちTwitterのトレンドに載るような作品なので、似た趣味嗜好を拠り所に繋がるには広すぎて怖いと感じた。
 かえって「『チェンソーマン』とかどうでもいいけど参加してみた」くらいのノリじゃないと、禍根を残すかも知れない。
 私は『チェンソーマン』が大好きだけれど、すごく面白いと思うけど、私がそう思ってることは、たとえ同作ファン同士だとしても「チーズ美味しい」くらいの意味しか持たない。
 チェダーチーズもブルーチーズもモッツァレラもチーズ。ドリアもグラタンもピザもチーズ乗ってるけど、私はグラタンはあまり得意でない。
 逆に、チーズ嫌いな人の集いなら、大抵はグラタン以外を提案するだろうから、グラタンを食べさせられる心配はあまりない。かわりに、大好きなチーズも出てこないが。

 いっそのこと、『チェンソーマン』を読んでない人の集い、あるいは『チェンソーマン』嫌いな人の集いなら、なんの興味も持たなかっただろうに。
 しかし、この読書会の参加条件は39歳以下で「課題本を読んだこと」「他人の感想や意見を否定しないこと」であって、課題本が好きなことや作品そのものに対して否定的意見を持ってないことは条件にない。
 だから、別に作品が大っ嫌いな人が参加して散々作品の悪口を言っても構わないのだけど。

 『チェンソーマン』と『ドロヘドロ 』を読んだ人のマッチング読書会なら行きたい。(でも自分みたいな人にムカついたら嫌だからやっぱり行きたくないかも)
 『チェンソーマン』と『萩尾望都』を読んだ人、『チェンソーマン』と『ハンターハンター』でも、ある「スジ」を重視した感性の人が集まりそうだと想像がつく。

 『チェンソーマン』と『ワンピース』、あるいは『呪術廻戦』『スパイファミリー』だったら、多分私は行けない方に入ると思う。そのスジを重んじる感性から遠い。
 『チェンソーマン』と『攻殻機動隊』だったら、興味はあるけど、きっと行けない。

 出会いたい人に出会って、すごくムカついたり落胆したりするかも知れないし、逆に全く興味のない人物が自分にいいものをもたらすかも知れない。
 真に「出会いたいものに出会う」のは難しいと思い知らされる。
 私たちは、自分の欲望をまだ知らない。まだ知らない快楽が結構どーでもいいことの中にも実はある。
 同じ物が好きだからといって仲良くなれるわけじゃない。なまじ寄るくらいなら遠い方が安心して付き合えたり、尊重して折り合えたりする。

 行く予定もないマッチング会について考えさせられた。そこで『チェンソーマン』をダシにしてマッチしているであろう、想像の中にしか居ない人たちに腹を立てた。(かなりのお門違い)

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