オレンジ色のニューカマー:2022 J2 第16節 町田ゼルビア×アルビレックス新潟
スクランブルな体制で臨んだ町田戦。結果は終盤の善戦及ばず敗北となったが、終盤の善戦の主役となった交代出場のニューカマー3人のプレイを振り返る。まぁ、本当の主役は鈴木孝司の兄貴なのだが。
小見洋太
エルゴラ選手名鑑には「何を考えているかわからないフォワード」と辛辣なのか誉めているのかよくわからないコメントが載っているが本人は毎日ブログを書いている。本当に毎日書いていて偉い。
プレースタイル自体はゴリゴリのアタッカーで攻撃的なプレイならなんでもできるというのがここまで見てきた感想。元気いっぱいの坊主頭。阿部と共に新潟ボーズというユニットを組んでいる(組んでいない)。
この試合でも交代直後に元気いっぱいにメチャクチャ姿勢の良いスローインを放り込んで気合十分で期待するなという方が難しい。毎回そう感じさせてくれるのが小見である。
交代で入ったポジションは左のサイドハーフで、守備を引きつけておいてからボールを受けて即リリースして守備のグリッドを崩したり守備ブロックを前後に揺さぶるプレイを見せたりする。
ボールを持って自分でゴリゴリというよりは味方とのコンビネーションで前進する頻度が高いような気がするが、自分でゴリゴリ強引グ・マイウェイできるポテンシャルを秘めているので強引なドリブルにも期待している。
ストライカーとしてのオフ・ザ・ボールもそつなくこなし、鈴木と2トップを組んでいたゲデスがボールを受けに1列落ちるとオートマチックにゲデスのいたスペースに走り込んだりする。いつでもゲットゴールスタンバイな姿勢を見せる小見。とにかくベクトルが常にゴールという生粋のストライカー気質。
味方がボールを奪われてネガティブ・トランジションが発生した際には誰よりも早くプレスバックするというかプレスバックの勢いそのままにサイドバックの位置までボールを追いかけたりする若さ爆発なプレイを見せる。俺たち新潟サポーターはそういうプレイに痺れる憧れる。
78:25には左サイドハーフにいたはずなのになぜか右サイドで守備を躱して華麗にグラウンダークロスを供給する小見。自分が突破できるスペースを見つける嗅覚が凄い。
その直後にはセットプレイの流れからキープしたボールを最後方からゲデス目掛けて放り込むとピンポイントでゲデスのヘッドに命中する。フィード精度も備えているのが凄い。
82:25のシーンではピッチ中央で守備の背後死角に回り込んでからボールを要求する小見。動きが忍者すぎて守備も無理矢理抱きついて止めるしか選択肢がない地味なスーパープレイ。これはファウルで止められなかったらゴール前正面でビッグチャンスという場面だった。
その直後にもゴメスの低弾道フィードが来るのを心で感じで守備の裏のスペースに走り込んでフリーで受けてゲットゴール期待値アゲアゲなプレイを見せる。町田の決死の守備に阻まれたがゲットゴールな抜け出しだった。
88:00にもマイケルからのフィードをオフサイドギリギリなゴール前真正面で受けたりと、このパターンでゴールが生まれる日も近いはず。
鈴木孝司の兄貴がPKゲットしたプレイのきっかけは小見のゴール前でのフリック→ターンからの抜け出しワンツー狙いだったりするので、自分でゴールも狙えるし味方を活かすプレイもこなせるユーティリティ・ストライカーというのが小見のスタイルになりそう。
アレクサンドレ・ゲデス
185cmの長身を活かしたアレコレなプレイが期待されるゲデス。過去には仙台に所属していたこともあり仙台サポの秀逸な紹介文があったりする。痛くなったらすぐゲデス!
基本的にはドドーン!と前線に張っているが、ボールが来ないと落ちて受けに行ってしまうのは戦術的な行動なのか本人の気分なのかは正直わからない。今回は途中から入ってきたということもあり守備ではキーパーに猛プレスしてボールを奪いに行く。
79:15、後方からの小見のピンポイントフィードをゴール前正面に優しく落とすが守備の網に引っかかる。ゲデスはこういう頭で落としとか頭でフリックみたいな「利き足は頭」みたいなプレイが目立つので、岡山のデュークのような理不尽プレイに期待したい。
82:00、最前線に打ち込まれた斜め楔をオシャレにヒールでフリックする鈴木孝司の兄貴だったが全く気持ちを感じ取れずチャンスをロストするゲデス。周りとガッチリ噛み合った場面を頻繁に見ることができていないがどこかで爆発して欲しい。
86:55、フィードにターンで合わせようとしたら守備に押されて転がるゲデスもノーファウルの判定に両手を広げてホワイジャパニーズピーポーするゲデス。ポルトガル語で何ていうのかは知らないが、いつかゴール真正面やペナルティエリア内で笛を吹いてもらえる日が来ると思うのでとにかく頑張ってほしい。
試合終了間際、この試合一番のビックリプレイが飛び出したゲデス。これが決まっていたら語り継がれることになっていたであろうゲデス。本当に惜しかったしボールが飛んでいるコンマ数秒の間にメチャクチャワクワクした。やっとお互いの気持ちが通じた鈴木孝司とゲデスなので今後も強く通じ合ってほしい。
吉田陣平
高卒ルーキーのボランチ。本間勲が強化部として初めて獲得したルーキー。中学まで新潟市民で高校時代は佐賀東でプレーして里帰りした地元の星。ポジションはボランチが主戦場になりそう。
ビルドアップ時の新潟トライアングルなポジショニングを当たり前のように遂行するのでまずは一安心。ヤンが高い位置をとった時には相手前線守備の間にポジショニングして守備をピン留めするプレイもそつなくこなす。
81:50のシーンは陣平が守備をピン留めしてヤンが隣で悠々とボールを受けてその後に展開というバターのように滑らかな連携を見せた。これはリトル・ヤンな雰囲気がある。
85:15のシーン、小刻みなステップでボールを対面守備から隠すようにしてボールをキープしつつ安全な場所にパスを出した後に再びボールをもらって隠してキープして溜めて溜めてサイドにポンみたいなプレイをする。
このシーンがあまりにも滑らかでボールの持ち方が高卒ルーキーなのに独特かつ洗練されすぎているので、これはパウサ(テンポを遅らせることでリズムを整えるプレイ)を体現するプレイヤーになるような気がする。
パウサができると守備を密集させることで味方にスペースを作ることができる。守備をホイホイして広いスペースへボールを供給するというようなプレイが陣平のプレイスタイルになってくるのかな?などと思った15分の出場機会だった。これはちょっとスタメン出場の状況で長い時間見てみたい陣平。
95:05のシーンでは守備3人を集約させてからフリーの味方にパス出しとかをしている。広い視野でフィードを繰り出す秋山とはまた違ったボランチを手に入れた俺たちの新潟。
88:30や88:40のシーンではボールを受けてターンして守備のプレスをいなして展開というようなプレイも披露している。当たり前に流れるワンプレイだが、こういうターンを利用した凪なプレイを今後多く見れるんじゃないかな?などという期待をせずにはいられない所作。
後半91:20のシーンではトラップで相手のプレスバックを躱して裏抜けする鈴木孝司の兄貴にロブパスを供給するみたいなこともできるっぽい。なんか最後はコーナーキックまで蹴っていたけどキック精度も信頼されてそう。
「パウサ」というキーワードを語る際に最適なプレイをしてくれそうな雰囲気ビンビンな吉田陣平。
どんどん有望でワクワクする新戦力が出てくる俺たちの新潟。熱くさせて欲しいですね。
「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。