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【レビュー転載】天皇杯茨城県予選準決勝 つくばFC×流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎(2019/04/21)

この記事はつくばFCサポータズ PEACSのブログへ過去に掲載したものを一部修正して転載しています。

http://peacs.tsukuba.ch/
http://peacs.tsukuba.ch/e326579.html

J3の下のJFLの更に下の地域リーグで戦うクラブにもサポーターがいて、そこにはサッカーにまつわる熱狂が存在しています。

Jリーグのマッチレビューだけではなく、こんな地方の5部リーグのマッチレビューも読んでもらえれば幸いでございます。

ヘッダー写真はつくばFCのホームスタジアムであるセキショウチャレンジスタジアム。サッカー専用スタジアムでピッチとの距離も近く、筑波山を雄大に眺めることができる素晴らしいスタジアムです(このレビューの試合はケーズデンキスタジアムが舞台です)。

つくばFCについての情報はこちらから。

それではレビュー行ってみましょう!

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勝てば天皇杯予選初の決勝進出となるつくばFCは流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎と対戦。相手はJFL所属なので格上ということになりますね。

プレシーズンマッチ以降しばらくつくばFCの試合を見ることができなかったのだが、プレシーズンマッチの3-4-2-1は選手の特徴とうまく噛み合っておらず機能不全という印象だったわけで、いつから変えたのかわかんないけどスタンダードな4-4-2で挑む。対するドラゴンズも基本4-4-2の布陣。

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序盤早々に下重のフリーキックやらドラゴンズのナイスミドルやらで終始殴りあう形になるのかと思ったけど気づいてみれば一方的に押し込まれているつくばFC。

個人個人の戦闘力で測ったら絶対勝てないやつだねコレ!と納得するには十分なドラゴンズの個人戦術。個人戦術も凄いが応援も凄い。学徒動員半端ない。

戦闘力で劣るチームが取る方法はカウンターを当てるしかないということで、みざきカウンターを狙うがヒットせず。その後もヒデでカウンターを当てたりしてチャンスメイクするもののやっぱりヒットせず。菅谷のクロスからのみざきが非常に惜しい。その後もみざきカウンターが発動するがサイドネット直撃でいちいち惜しい。その後のコーナーキックもシュートで終わるが決めきれず。クワァーッ!

ちなみにドラゴンズのコーナーキック守備が少々珍しい完全マンツーという形なのだが、この守備の仕方が後でつくばFCに歓喜をもたらすことになる。

で、この時点で竹中の特徴がよく解っていなかったんだけど生粋のエアバトラーのようで頼もしい限り。

圧倒的にボールを握られるのかと思ったけど結構持てるつくばFC。菅谷のドリブルからクロスが上がり渓太で締めるという良い形が見えたりしてつくばFCの時間が続きドラゴンズはボールを前方に蹴飛ばすしかない状態で、渓太がオフザボールの動きでディフェンスを引き連れて逆サイドの下重に振るというシーンはつくば市内中学サッカー部の少年達のお手本にしたくなるナイスプレイ。

直後に菅谷のナイスミドルが飛び出すなど、コレいけんじゃね?という雰囲気の中に心のエアポケットが生まれてしまいドラゴンズの個人戦術で抜け出されたものの、なんとかなるさーと余裕かましていたら案の定ドラゴンズの突撃部隊の手にボールがヒットする。が、ノーホイッスルでノーハンドの判定となりプレー続行。なんでじゃぁぁぁ!と叫んでいる間にスルッとゴールを奪われる。ケーズデンキスタジアムにVARは設置されていないのか!

先制点を奪ってノリノリのドラゴンズは嫌がらせのようなパスワークで押し込んでくる。お前らがサッカー上手いの解ってるから手加減しろよ、と言ったかどうかは解らないが渓太をキーマンにして攻撃のスイッチを入れる。

渓太にボールが渡ったら攻撃のスイッチオンで2トップが動き出すという仕組みでゴールを狙うつくばFC。渓太が抜け出してファウルゲットからの下重フリーキックからの最後は渓太という渓太オンステージが止まらない。高身長でトリガーになれてフィニッシュにまで絡めるサイドバックとかロマンしかない。渓太はたぶんアオアシの熱心な読者だと思う。

前半終盤は渓太が高いポジションを取ってサイドハーフの役割を担いつつカウンターを狙うがドラゴンズのネガトラが上手くて刺さらない。キエェーッ!

前半アディショナルタイムに押し込まれる時間帯が続くが正三郎や竹中の屈強なエアバトルで弾き返す。渓太とは逆サイドにいるサイドバック掘西も野性味溢れる気合のエアバトルで猛攻を弾き返して前のめりになりながら前半終了。堀西は筑波大の院に通う結構なインテリなんだけどね。

後半に入っても前のめりのつくばFCはみざきが抜け出してシュートチャンスを作ったり、最新サッカー戦術に詳しいような気がする掘西がオシャレにハーフスペースを偽サイドバックとして駆け抜けるが誰にも相手にしてもらえずゴールラインまで駆け抜ける。掘西のオシャレランは俺がちゃんと見ていたよ!

コーナーキックをゲットしたつくばFCは下重がキッカーとして蹴ると深澤が押し込んで同点に。この時のドラゴンズの守備はゴールライン上に5人くらいを配置するつくばFCに対して、同じくゴールライン上にディフェンスを5人くらい配置してゴールの枠の中に隙間ないじゃん!という状況を作っていたにも関わらず僅かな隙間をボールが後ろから飛び抜けるというドラゴンズからしたら頭を抱えるゴールだった訳で、「コーナーキック守備におけるマンツーマンとは」という深いテーマが生まれた瞬間を目撃した。

同点に持ち込んで勢いに乗ったつくばFCは菅谷がキーパーと1対1の状況を作るもドラゴンズキーパーのビッグセーブが飛び出てゴールゲットならず。クワァーッ!と思っていたらボールを奪ったドラゴンズ10番がハーフウェイライン手前から物凄い速さで駆け抜けてゴールを奪ってしまう。ドラゴンズ10番に振り切られた掘西のハートも奪われてしまう。いや、あれはマジ速かった...

その後は押し込まれたりナイスミドルを撃たれたりと攻め立てられるが掘西のプレスで跳ね返す。

菅谷OUTで冷岡IN。フォーメーションはとりあえずそのままっぽくて小笠原のビッグセーブが飛び出す。イイヨー!

追いつかなくてはいけないつくばFCは渓太と掘西の両サイドバックをあげて猛攻を仕掛けると掘西のドリブルがなんだか惜しいところまで行く。コーナーキックもドラゴンズのキーパーがビッグセーブを見せて得点に繋がらない。下重が持って小泉がナイスミドルやみざきのポストから再び小泉が決定機を作ったりするが何一つ決まらない。ミスター決定機ロス。

流れを掴んだつくばFCはパスワークで形を作って得点機会を伺う。掘西は魂のディフェンスでドラゴンズの侵入を許さない。もうね、マジ総力戦。

ヒデOUTで山下IN。山下宇一と書いてタカイチと読むらしい。特徴は知らない、と思ったらスーパーミドルが飛び出してキーパー正面だけどコレはびっくりシュート。その後は流れを良く覚えていないんだけど冷岡がゴールを決めて同点に。冷岡アリガトウ(棒読み)

同点に追いついた後はネガトラをみんなで頑張ってドラゴンズにビルドアップをさせずに主導権を握ったまま攻め続けて竹中のクロスバーや小泉の枠外とか惜しいのがいくつかあったけどそのまま延長戦へ。ミスター決定機ロス(アゲイン)。

延長開始早々にタマシイディフェンスでフィジカルを酷使して、いろんなところを走り抜けた掘西が疲労困憊で交代。いや、本当によくやってくれた。代わって入ったのは宮谷。

一進一退で攻守が入れ替わるナイスゲームだが応援している立場だと心臓に悪い瞬間が度々。もう渓太の足が限界だと思った矢先に宇一のスーパーミドルがドラゴンズのゴールを襲う。いや、宇一のシュートがリアルタイガーショットすぎて見ていて楽しい。渓太OUTで池本IN。渓太も良く頑張った。試合は殴り合いの空気が流れ始める。

延長後半ラスト15分、宇一が前線から猛烈プレスを仕掛けたのをキッカケに全体でハイプレスを仕掛けるつくばFC。俺たちに引き分けなどない。ちなみにその後ドラゴンズの選手にアクシデントが発生して救急車搬送となってしまい7分くらい試合が止まる。ドラゴンズの彼はその後大丈夫だったのだろうか。みざきOUTで櫻井INとして最後の勝負を仕掛けるつくばFC。

肉弾戦が続く両チームだったが、歓喜の瞬間が訪れる。

下重がドリブルで運んで深澤がハーフスペースにボールを流すと飛び込んできたのは冷岡。丁寧にタッチして斜めの角度から左足を振り抜くとボールはゴールネットを鮮やかに揺らす。湧き上がる歓声とこぼれ落ちる落胆の声。

長いアディショナルタイムを全員が強い気持ちで守って小笠原のビッグセーブも飛び出し試合終了のホイッスル。

クラブ史上初の決勝進出となった素晴らしい試合でした!

...エピローグという訳ではないのですが、つくばFCの後に行われたもう一つの準決勝となる筑波大と流経大(トップチーム)の試合も漫画のような劇的展開となる総力戦の素晴らしい試合で当日はもうお腹いっぱいでした。サッカーって楽しいね!

「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。