『杜の都は不思議のまち』最終回
6月16日(木)の河北新報夕刊に、「杜の都は不思議のまち」の第13話・最終回が掲載されました。写真を拡大すると、お読みいただけるかと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
※作者本人ということで、紙面のSNS投稿のご許可をいただいております
愛宕山の千体堂から消えた千体仏を追っている、〝見える目〟を持つ男の子・樹と郷土史家の叔父・紡。
樹はついに、仙台城の鬼門鎮護の役割を担うという光禅寺にたどり着き、石のお地蔵様の体から金色の霧が立ち上るのを見つけます。
ゆらゆらと立ち上った霧はやがて、見覚えのある観音様の姿になり、 「開府仏である」と名乗ります。
千体堂を抜け出して、この場所へとやってきた千体仏の真の目的は?
千体仏は、このあとどうなるのか?
いよいよ最終回となりました。
書いている間(昨年の11月~12月でした)も、連載中も夢中でしたが、
終わってしまうと思うと、嬉しさよりも寂しさの方が先に立ちます。
樹、紡、匂の君、辻の龍、柳町のヒツジ、そして開府仏……。
今回の作品は、どのキャラクターもお気に入りでした。
本郷けい子さんが描いてくださった絵は、どれも魅力的でした。
さらに、舞台となった場所やお店も、お気に入りばかりでした。
以下、種明かしを少々(笑)
まずは、第1話に登場した、老舗甘味処・彦しち! こちらのモデルは、一番町四丁目商店街にある大好きな甘味屋さん「彦いち」さんです。
それから、最終回に登場した源六茶屋。モデルは西公園にある、源吾茶屋さんでございます(*^。^*)
写真にはございませんが、こちらのお店のラーメンは、小さなお子さんからご年配の方にまで愛されるやさしい味わいのラーメンで、「子どもの頃に食べた味が懐かしくて」とやってくるお客様も多いのだとか。
仙台の好きな場所、好きなものをたっぷり盛り込み、このまちの土台を築いた伊達政宗公にまつわるお話を書くことができて大満足でした。
読んでくれた子どもたちが樹たちのように、彦いち→愛宕山・千体堂→芭蕉の辻→柳町・大日如来→光禅寺と、街を歩いてくれたらうれしいです。
常々思っていることがあります。
土地の作家が書いたその土地の物語は、「地場産品」なのではないかと。
そして、そんな物語を、地元の方にも味わっていただけたらいいなと。
……なんてことを、地元紙の記者さんにお伝えしたら、「物語の地産地消ですね」と言っていただきました。
――物語の地産地消。
いい言葉だなぁと思いました。
ナショナルブランドはもちろん魅力的ですが、「特産物」「地元の名品」もいいなぁと思っております。仙台の「いちじくの甘露煮」とか大黒屋さんの「がんづき」みたいな。
今の時代、それが全国に広がってゆくという逆パターンもありかもと。
土地に根差した物語を書いている私は、これからも「地場産品的物語」「物語の地産地消」の旗を掲げて歩んでゆこうと思っております。
さて、『杜の都は不思議のまち』のエンディングは、「行きてかえりし物語」風味になっております。舞台用語で言うところの「いってこい」。
もちろん、このままでは終わりません。いつか続編にチャレンジしたいと思っております。その節は、どうぞよろしくお願いいたします。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
また『杜の都は不思議のまち 2』でお目にかかれる日を、楽しみにしております。
末筆となりましたが、「最近人気のチャラいピンク髪の漫才師によく似た郷土史家・家森紡」のモデルを快くご了承くださった、郷土史家の菅野正道さんに、心より御礼を申し上げます。
また、「EXITの兼近さんみたいに」とか「陰陽師の野村萬斎さんみたいに」とか「千体仏を」とか、わがままななリクエストに、ぶつぶつ言いながらも素敵な絵をつけてくださった本郷けい子さんにも、心からの感謝を♪
みなさま、ありがとうございました!
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