心の皮膚 #10

先日採血針を刺された時に「あっ!今の痛かったでしょ?!ごめんね?!」と言われた。

確かにその時は痛かった。目標の献血回数が3桁台にのってからというものの、次の目標回数がさらに高くなり意気揚々としている私だが、やはり針を刺す瞬間は痛い。ただ今のところ112回中5回ほどはまったくの無痛だったことがあり心底驚いたものだ。これは献血時の本採血針のことであって、献血に通い続けた結果病院などでの一般的な採血に対しては前のように痛みを強く感じなくなった。

針を刺された時の痛みというのはもちろん針をさす側の経験値も多少は関係があるが、皮膚には無数の痛点というものがあり、そこを刺してしまうと痛みが生じるらしい。

私はプライドが高いので決して痛かったですとは言わない。言ってももうどうしようもないし、一瞬の痛みの後は特に何ともないんだから特に言おうと思わない。けど、こないだはかなり痛かったから「痛いとかそういうのって刺した時にわかるものなんですか?」と聞いてみた。我ながらいい聞き方だったと思う。


何度も同じところに針を刺していると、当たり前だけど皮膚は怪我をした部分の補強をするためどんどんと白く硬い皮膚になる。余談だが以前喉を壊した時に、耳鼻咽喉科で緊急処置として点滴を打ったときに、若いのに私の腕に注射痕がくっきりあったので看護師さんに別の意味で心配された経験がある。

話が逸れたがその硬い皮膚のところに針を刺そうとすると、硬いところを突破しないといけないわけでグッと力をいれるため痛みが生じやすいそう。針が入る時の手先に伝わる感覚で患者の痛みがわかるのだから、改めてその道のプロは凄いなぁと思った。


人生山あり谷ありで何度も辛いことが訪れる。どれだけ乗り越えても次の壁が近くにも遠くにもそびえ立っていて、その度に傷ついて悲しくてもう何もかもがどうでもよくなってしまう。

楽しいばかりだとそりゃあいいかもしれないけれど、いろんな辛いことを経験して少しずつだけど心の皮膚が硬くなっていく。そうすることで逆に思慮深くなったり人を信用できなくなったりする。歳を重ねる毎日の中で少しずつ自分を守る術を身につけていく。だから時々訪れる諍いやトラブルが痛い。


私も昔はよく毎日友達と大げんかしてたなあ。髪の毛引っ張り合いになったこともあったなあ。クラスの男子とも喧嘩したなあ。今じゃ少しのすれ違いでさえも心が疲弊する。


きっとそれは私だけじゃないから、だから、私は他人に愛を持っていたい。優しいだけが善でないこの世界で。さて、愛とはなんだろう。



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