進撃の巨人 最終回

進撃の巨人が終わってしまいました…
先ほどKindleで最終回を読みました。
最初の頃から考えると、本当に遠くにきてしまいました。
読んでいる我々も、まさかこんなところに連れて来られるとは思ってもみませんでしたね。マーレ編が始まってから、どんどん別種の面白さが加わって、最終回を読んだ後は嘆息するしかありません。


進撃の話、2回目です。

ハンジさんの話です。
なぜかこのキャラだけは「さん」付けにしてしまいますが、調査兵団のハンジさんです。読者の女性に非常に人気があるキャラですが、このハンジさんの扱いが非常に特徴的でした。
このハンジさんが、非常に中性的な存在として描かれています。全く女性と明言されていないと思うのですが、おそらく女性です。そういうキャラは他の漫画でもいたかもしれませんが、とにかく性別のにおいが皆無。
エルヴィン、モブリット、リヴァイなど、一緒にいる男性と並ぶことで、おそらく女性なのだろうなと類推できる程度です。

軍隊を率いる女性キャラは、今までのアニメに数多く出てきます。
この軍隊を率いる女性キャラにも、今まで結構なステレオタイプがあったと思うのです。
軍隊=圧倒的男社会でトップに立つのに、女性性がどこか強調される。衣服であったり、物腰であったり、特別な出自であったり、実らない恋愛が隠れていたり、厳しい中に母性も描かれ、〈このポジションにいるには女性としての理由がある〉というものですね。
ハンジさんは調査兵団という軍隊のような組織の分隊長という身分で登場して、その後調査兵団の団長になりますが、以上の要素が全くありません。
服装は他の皆と同じ、髪はボサボサ、喋る言葉は自分の興味のあることをまくし立てることが多く、特別な出自もなし、恋愛要素が全くなし、自分の研究が第一、生きたいように生きている人です。
こんな軍隊組織の幹部女性が描かれたことって、あまりないと思います。
そして良いなと思うのが、他の人が全く「あの人は女だから」という扱いをしない。ひたすら全員がハンジさん、ハンジと呼んだり、変人という目で見ているだけです。
こういう存在が当たり前に描かれることって、少年漫画を読む子どもには意外と少なからず影響を及ぼすのではないかなと、思ったりしています。

女性がトップにいるからって、何か特別な理由は要らない。

このハンジさんは二次創作で大人気でしたが、それは昔から「ファンタジーの中の、中性的な女性に憧れる」という女の子の夢みたいなものを刺激するところもありましたよね。
ただ、ハンジさんはとりあえず汚そうだし出生に悲哀も背負ってなさそうだし変人扱いだし、今までの感じ、オスカルみたいなものとは、また違うと思います。だからこそ、誰とでも、どの性とも、カップリングして二次創作しやすかったのかもしれないですね。わりと女の子の夢をどんな風にも託せるキャラだったと思います。

この漫画の中で、徹底して女性は女性としてではなく一人の人間として描かれているように感じていました。それは作者が意識して無理やりそうしたというよりは、自然にそう描いているようにも感じていました。
女性=恋愛対象、トロフィー、母性、産み育てるもの、というジェンダーロールをしっかり出していたのは、前半はたとえばエレンの母など、誰かの母ということはあってもその他がないなと、それはある面で少し子どもっぽいジェンダー感なのかもしれないと思っていましたが、終盤に向かうにつれて随分様子が変わってきました。
ある局面で女性キャラが「産む機械」ともいうべき役割を与えられ、同時にそれを自ら選び、言外に残酷なものとして描いていたのが非常に印象的でした。それまではっきりとしたジェンダーロールが目立たなかった中で出てきたので、より残酷なものに見えました。

初期に「この世界は残酷だ」というセリフが出てきますが、話が進むにつれ、ファンタジーだった残酷さが、人間社会の持つリアルな残酷さに変化していきましたね。

いやあ、最終回を読んだら、終わってしまったことに呆然としている状態です。でも、作者の諫山先生はゆっくり休んで頂きたい。そして、またすごい漫画を見せてもらえたら、ファンとして幸せです。

また書くかもしれませんが、しばらく進撃ロスです。



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