新譜『Dot』が手元に届きました／制作の経緯
9月末にCDは届いていたのですが、ツアーでしばらく家を空けていたので、昨日、オンラインストアでご予約頂いていた分をまとめて発送しました。
今回のアルバムは、構想は2021年の『Calling』が完成した2021年7月ぐらいには始まっていたので、maiko氏、孝紀氏、橋爪氏にはその頃から「こういうことしたくて、その時はお願いしたい」と伝えていました。まだスコアも何も書いていないうちに。
そこから、まずはトリオの音をどうするか脳内でイメージを重ね、西嶋&則武トリオで同年12月にライブを組み、それを目標に曲を書き始め、同年12月のライブで手応えを確かにして、それを手がかりにまた曲を書いていきました。
孝紀氏には、「まだ時間かかりそうだから、先にひらぱーの方を録ろうと思う」と2022年頭に連絡して、『Hometown』を先に制作しました。
2022年は、このプロジェクト用に曲を書き、トリオで定期的にライブをして試行錯誤していましたが、常に木管の響きというのは念頭に書いていました。
2022年秋、ちょうど1年前ぐらいですね。よく一人で飲みに行く成城学園のブールマンで飲んでいた時に、マスターが「孝紀さん、また聴きたいなあ」と言い出したところ、私も酔っ払ってたので「じゃあ、自分のプロジェクトと引っ掛けて来てもらおうかなあ。ついに構想を具現化しようかなあ」と、その場で孝紀氏に連絡をして、勢いに任せて6人編成をブッキング。今年2023年2月の初ライブとなりました。
音の感触だけは、ずっと頭にイメージがあったのですが、具体的なスコアは書いてはいなかったので、実際に書く段階になったら、案外と玉にできない。これは時間がかかるかもしれない…と覚悟し、あまり焦って丁寧に書けなかったら意味がないなと思って、梶純氏に2曲アレンジを委嘱して曲を補強して、まずは2023年2月のライブを行いました。
そうしたら、また思ってもみない感触になり、「人と演奏するって楽しいし、神秘的な行いだな」と改めて感じた日となりました。
昔からそうなんですけど、「この人と一緒に音を出す」と思って準備すると、その人は、必ずそれ以上にして返してくれるんですよね。
それは、私の想像力が足りないのではなくて、相手は基本的によく知らない人間、他人だからです。ずっと演奏している人だって、結局根元は知らない人です。知らない人同士で音を出して、何かが出来上がってくるって、本当に面白いことだと思いますし、とても神秘的なことだと感じる時があります。それが、相手が優秀なジャズミュージシャンだったら、もっとフィードバックは大きい。
「この音楽の出口が良いものになるように」という目標だけを共有して、知らない人と共同する、その美しさに魅せられているから、ずっと音楽を、ジャズを、性懲りもなく続けているのだと思います。
今回のアルバムは、あくまでも「トリオ＋3」とう編成で、基本的にはピアノトリオです。
6人編成のものは、書いているようで書いていない部分が結構多くて、「これとこれとこれのどれかの音を弾いて」という指定をして、各人に任せていることも多いです。
自分の思った通りに他人を動かすことは、やろうと思えばできるけれど（譜面を玉だらけ、指示だらけにすればいい）、この先どういうものが出来上がるかわからない、信頼している相手の選択を受け止めてみたい、そういう興味の方が、今は強くあります。
そんなわけで、2023年2月のライブを終えてすぐ録音計画を立て、ゴールを決めて制作してきました。
昨今のCD市場の縮小と物価高騰を鑑みると、大掛かりに録音をするのはこれで最後になると思い、悔いの残らないように手間もコストも惜しみなく、完全に自分で自分のために作ったので、出来上がってみると、近年稀に見る爽快感すらあります。すっきりした。心晴れやかなんです。
アルバムの内容について、何の説明にもなっていないなと思いますが、そんな経緯で出来上がり、手元に届きました。
ライブではお伝えしていますが、2枚分録音してきてるので、来年に後編を出します。
コンセプトについては、以前noteに書きました。
今回、どのショップで買っても、私のところで買っても特典は付けていないので、便利なところでご購入頂けたらと思います。
※販売元のディスクユニオンだけ特典が付くことになりました(11/9)
一般発売は11/22ですが、それまで、私のライブ会場とオンラインショップで先行発売しています。
また、メンバーにも少し預けているので、メンバーからもぜひ買って頂ければ嬉しいです。
ということで、『Dot』ぜひ聴いて頂ければ幸いです。
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