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自動運転の現在

河野太郎デジタル大臣が、神奈川県平塚市が地元バス事業者の神奈川中央交通と共に自動運転バスの実証実験を来年1月から本格実施する旨のXポストをされていた。

https://x.com/konotarogomame/status/1722468341594648684?s=53&t=kN6hS7zWY5LAL60jaT7gJQ

世界中で自動車の自動運転がとり立たされ、日本でも自動運転バスの実証実験が始まっている。地方都市では人口減少に伴い、バス運行の継続が難しくなる場合が多くなってきている。

利用者の人数に関わらず鉄道やバスは常に運行している。人口減少に伴い利用者が減少しても運転手の仕事に変換はないのである。

そのような地方都市では高齢化が進み、街を巡回するバスは住民の足として必要不可欠である。人件費が嵩む為、廃線にする路線もある中、一つの光明が自動運転だ。

自動運転にはレベル1〜レベル5まであり、レベル2までは運転支援という形で様々な自動車に導入されているが、レベル3(条件付き運転自動化)となると急にハードルが上がる。レベル3では運転手がハンドルから手を放しても自動運転システムが運航してくれるといったものだが、さらに前方などから目を離していても問題なく運行してくれる。

過去にはホンダのレジェンドが世界初のレベル3のシステムを搭載した市販車として販売されていたが、これも生産終了となり、現在の日本では、レベル3のシステムを搭載した市販車は販売されていない。

海外でもレベル3のシステムを搭載した市販車は殆どない。市販車で自動運転というとテスラを思い浮かべる人もいるだろうが、テスラのFDSはレベル2相当である。安全性だけでなく、法的な対応が不十分のため、レベル3以降のシステム導入は難航しているが、2023年4月の道路交通法の改正により、日本国内でもついにレベル4が解禁となり、市販車への導入が期待される。

因みに、レベル4とは「高度運転自動化」を指し、限定領域においてシステムが全ての動的運転タスクを担うとともに、作動継続が困難な場合への応答も実行する。つまり、ドライバー不在の運転を可能にするシステムである。

これだけ聞くと長距離運転などが楽になると思うだろうが、先の法改正では、自動運転で走行する自治体の公安委員会の認可を受けた状態でのみ自動運転が許可されることとなる。一般道などを自由に走る事はまだ難しい状況といえる。

市販車にレベル4が普及するためには、さらなる法改正が必要になる。SF映画のように乗っているだけで目的地に辿り着いてくれるのがレベル5であるが、国内・海外ともに実証実験の計画も明確ではなく、レベル5実装はまだまだ先の話になる。

日本では、これまで、北海道岩見沢市、茨城県常陸太田市、東京臨海副都心地区、福岡県福岡市、茨城県日立市、羽田空港、埼玉県さいたま市、島根県飯南町、茨城県境町、神奈川県横浜市、愛知県日進市、といった場所で自動運転バスの実証実験が行われてきたが、どれもレベル2+といった感じである。

今回、神奈川県平塚市で神奈川中央交通と自動運転バスが始める実証実験は、システムがハンドルやアクセル、ブレーキ操作を自動で行い、安全確認などシステムの対応範囲を超えた場合に運転手が対応する「レベル2」の段階であるが、将来的に完全自動運転となる「レベル4」での運行を目指している。

自動運転といえばサンフランシスコのロボタクシーが有名だが、これは22年2月に実用化されている。実証実験止まりの現状を見ると、日本は自動運転に対しては後進国だと感じる。自動運転の技術的な安全性もあるが、「事故を起こした場合、責任は誰が負うのか」といった法律的な整備が不十分であるのもユーザーとしては気になる点である。

LiDARセンサーなど高性能センサーはすでにあり、AIの実用化に向けた研究も盛んに行われている。技術的な課題は時間が解決してくれると思えるほど、この数年で技術開発・研究は急速に進み、今後も加速していくはずである。

あとはユーザーが安心して利用できる環境整備だけである。これは各メーカーだけでは実現不可能であり、国の支援が必要不可欠である。「誰一人取り残さないデジタル社会の実現」を掲げるデジタル庁の長である河野太郎デジタル大臣であれば、国民生活を豊かにする自動運転の1日も早い実用化に向けて、大きな支援をして頂けると期待するばかりである。

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