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【俳句2021年夏】見知らぬ受話器

夏蝶を見るというとめどない落丁

漏斗くぐるキャベツのなかの二重写し

小満のいつまでもゆびきり未遂

鳥の眩暈はラムネの脱字と等価値

すれ違う耳を歩いてくる芒種

眼帯をはずして花栗を濡らす

夏川へゆく研ぎすぎた影

鳩尾の鮨 さっきまで白だった

鍵のように手を失くす鬼灯市

パラソルに風 見知らぬ受話器取る

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