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【俳句 2020年夏】顔の名前

顔の名前/未補

偽の消印蚤の谺がそこここに

簾しておとうとの毛が濡れている

ほうたるか図面に存在しない窓

蛇の歯を拾う四等分の月

鍵穴のある子どもは夏の月へゆく

掌編のなかで涼んでいる子象

日焼したわたしの影は踏みやすい

ビデオ炎ゆ砂利で埋まる時価のからだ

睡蓮は顔の名前をつけ直す

夕焼を汲んでエレベーター昇る


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