与えられなくても、奪わないでいられたら
これまでに何度か、根っからのエンターテイナーだな、と思わされる方に出会ったことがあります。
だれかを楽しませることが生き甲斐、心血注ぎまくっている、といっても過言ではなさそうな、特別人を笑わせることが好きな人。
お金が流れる流れないは問わず。
そんな人に出会うたび、どこか羨ましく思いました。
羨ましく感じたのは、自分の中で「人を笑顔にしたい」という気持ちがどこかにあったからなのかもしれません。
ただ、そんな人に出会う度、「わたしは笑う側だな」と思わされました。
そうやって笑わせてもらう度、人を笑顔にする行為に尊さを感じました。
笑顔は自分にとって、ときには目の前の他人にとって、お薬のような効能を発揮することがあります。
心の底から出たそれであれば、できる限りたくさんの数を咲かせた方がきっといい。
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自分は、息をするように笑顔を探るエンターテイナーではありません。
そんな尊い人種にはなれませんでした。
こんなことを考えたきっかけは、笑わなくなった知人にありました。
笑わせてあげられたらって、むずかしいことを考えてしまいました。
自分にはハードルが高かったから、せめて、そこにある笑顔を消し去ってしまうような人間には成らないでいれたらって思いました。できる限り。
与えられる人間にはなれなくても、せめて奪ってしまうような人間にはならないでいられたらって。
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