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短期間で、海外の大学に訪問や留学ができて、場合によっては単位もとれるという、便利な制度が大学間の国際交流です。ここでは当大学で私が担当している協定校との例も交えてご紹介したいと思います。

1.基本的な仕組み

この制度は、基本的にはまず大学間で協定を結びます。この協定は全学部間であったり、特定の学部間であったりしますが、基本的には学生間の交流だけではなくて、教員同士の交流を含む場合が多いです。そして、勉強や研究だけでなく、文化的交流も重視されます。せっかくの国際的な交流協定ですから、両国の文化、習慣の理解をより深める、ということも期待されます。

国際交流協定は、たいていの場合は両大学の代表者(教員と事務職員)により協議、文書の作成が行われ、両大学の学長(または国際担当の副学長など、相当の代表者)のサインにより結ばれます。期間は、大体2-3年単位を基本として、そのつど見直しがなされます。毎年、何人の学生が相手校に訪れてどんな活動をおこなったか、または相手校から何人来て、どんな内容のセミナーを行ったか、などの実績を確認します。やはり実績がないと、見直しの時に継続の必要性を問われますから、年に1回でも良いので相手校となんらかの活動をすることが期待されます。

2.交流の事例とパンデミックの影響

私は2016年から、日本の国立大学1校と、私立大学1校との協定締結を担当し、現在も当大学の代表者として担当を続けています。これまで、国立大学からは短期留学生(1セメスター)の受け入れと、当大学からの学生の短期派遣及び国際ワークショップ、フィールドワークの実施、私立大学からは毎年学生および教員のキャンベラ訪問と国際ワークショップの開催を行ってきました。2019年までは・・・

2020-2021年は、新型コロナウィルスによるパンデミックの影響で海外渡航ができなくなりましたので、両校とも日本ーオーストラリア間の行き来が出来なくなりました。2021年はオンラインでのワークショップの開催の可能性も考えましたが、交流の性質が、なかなかオンラインでは出来にくいため、今年はこの年末にかけて教員の研究交流のみ実施する予定です。オーストラリアは11月から国境をオープンしましたが、こちらの大学は第二セメスターが終わってこれから夏休みに入る事、また、自主隔離が必要など、まだまだ短期で気軽に渡航できる状況ではありませんので、学生の交流は来年に再開できればと思っています。

2年間実質的な交流活動ができていませんので、やりたいことは色々ありますし、何より、学生にとっていつもとは違う学習の機会を奪われてしまったのが非常に残念です。毎回交流イベントのあとは、学生たちがお互い良い刺激を受けて、生き生きした顔をしているのを見るのが、担当者として何より喜ばしいものでした。そして、教員にとっては、共同セミナ―や共同研究など、議論したいことは山ほどあります。

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(ある年の、協定校と実施した学生同士のセミナーです)

3.どうしたら国際協定の有無を調べたり、活動に参加できるのか?

日本の学生さんは、まず、自分が通っている大学のゼミの先生や、国際担当の部署で、どんな大学と交流協定を結んでいるか、問い合わせてみてください。たいていの大学は、海外の大学と何らかの交流協定を結んでいると思いますし、協定校のリストがあると思います。そして、そのリストの中から、行ってみたい国、大学を選び、これからどんな活動の予定があるのかを聞いてみてください。場合によっては、その活動に参加するために申請できる奨学金などもありますから、渡航費などの資金面の相談もしてみると良いと思います。

もし、事前に自分が行ってみたい大学があって、通っている大学の交流協定校リストにない場合は、こちらも国際担当の職員さんに、○○大学との協定はないか、今後結ぶ予定があるかどうかを聞いてみるのもお勧めです。もし大学内に、○○大学の人と協働研究をしている教員がいたら、「協定を結んでは?」という提案を出してくれるかもしれませんし、問い合わせを記録として残してもらえれば、何かのきっかけで、行けることもあるかもしれないので、とにかく問い合わせてみて下さい。

4.活動に参加する前の準備

幸いにも、大学の国際交流の活動に参加できるとなった場合、以下の3つの事をやって頂きたいと思います。

1.相手の国や大学の基礎知識を身につける
2.相手の国の方々と交流する際の言語の練習(たいていは英語)
3.この活動から何を学びたいか、そして経験をどう活かしたいかを考える

1については、言うまでもありませんね。自分が訪問する、あるいは、自分の大学に来る方たちの事を知っておくのは、最低限のマナーですし、知ることで、色々質問したいことや議論のきっかけになる事が出てくると思います。2はコミュニケーションにおいて非常に重要です。「上手」に話せる必要はありません。身振り手振りも交えて、片言でも通じますから、物おじせず、積極的に会話に参加できるように準備してください。3は、例えば、相手校の参加者に何を聞きたいか、や将来一緒に研究をしたりするといった目的があるのであれば、漠然としてでも良いので、聞きたいことや研究計画をメモしておくと良いでしょう。担当の先生とよく相談してください。

せっかくの機会ですので、恥ずかしがらず、積極的に参加して、是非世界中の色々な学生たちと交流してみてください。世界がより広がると思います。

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