見出し画像

おもしろさに振り回された1ヶ月

言葉の企画、第2回は、まさかのテレビ朝日の芦田太郎さんが講師だった。

(言葉の企画についてはこちら)

(芦田太郎さんについてはこちら)

課題は、次の通り。

フワちゃん or バナナマンをメインに据えた、
ゴールデン帯のファミリー向け番組を企画してください。
(フワちゃん or バナナマン どちらか選んでください)
(不必要に人を傷つけるような番組にはしないでください)
(自分が見たい番組にしてください)
(特番ではなくてレギュラーに耐えられる番組でお願いします)

1回目の自己紹介とは違い、阿部さんの言葉を借りると、「他己紹介」の企画。どこに魅力を見つけて、どう広げるのか。

出された当日はワクワクし、普段からラジオを聞いているバナナマンにしようとすぐに決めて、見たり聞いたり読んだりしていろいろと考えてみたものの、、、

結論から言うと、私は甘かった。

画像1

楽しさや新しさをつくることができないまま、ただ混沌とした強い思いを企画書にぶつけてしまった。エンターテイメントではないことはなんとなくわかっていた気もするけど、どうすればいいか全く分からなくて、なにも思い浮かばなかった。

だから、提出後には猛烈に悔しさと虚しさだけが残った。ただ好きだという気持ちを一歩超えて、企画という提案を贈れるくらいまでバナナマンに愛をもつことが出来ていなかったと思う。完全に甘えていたと、今ならわかる。

その日の夜、100人超のアツい企画書を載せたメールが届いた。とにかく沈んでいた私の心に、阿部さんの一言一言がゆっくり入ってきて、泣いてしまった。

ものさしを育てようと誓い、泣き疲れて眠った。

翌日、開き直って学ぶぞという思いで臨んだ皆さんの企画書からは、人間臭い、興味深い、ただ笑える、考えさせられる…など、それぞれのおもしろいの定義が見えるようで、とてもおもしろかった。対峙していく中で、言葉は短く強くできるな、デザインにも優しさを込めたいな、企画の出発点が感じられる、出演者への愛がある企画書がいいな…など、凝り固まっていた昨日までの私が嘘のように、発想や気づきが広がっていくようで、あぁやっぱりこの感じが好きだ、と思えた。自然とのめり込んでいた。

その上で私は、おもしろさって「強さ」だと思った。ビビっとした、敵わないと思った企画には、その新鮮さに圧倒されるような感じがあって、シビれたから。


迎えた、講義当日。


もう、とにかく芦田太郎という人間に圧倒されっぱなしだった。

フランクな態度や真っ直ぐな言葉から、画面を隔てていてもビンビンに伝わってくるテレビへの力強い熱量。

自分がおもしろいと思うことだけではなく、テレビマンとして、大衆にウケるものを届けるんだという覚悟。

企画が通らなかった時は上司に「なんで?」を必ず聞くことで、企画を想像のレベルで終わらせず、現実に起こる問題や可能性を見つけ、修正し続けるという貪欲な姿勢。

ADとしての下積み時代に初めて味わった、番組を一からつくるおもしろさを、「覚せい剤的な快感」と例えられていたのがとても印象的だった。テレビでおもしろさをつくることに、心底惚れている人なのだと思った。

「トーク番組は企画じゃない」という言葉には、グサッときた。出演者を最大限に活かすことは、出演者任せにすることではなかった。新しいなにかを組み合わせて初めて、ひとつの企画になるのだと学んだ。

また、企画書を見る人がイメージしやすいように、具体性をいかに持たせられるかはすごく大切なのだと思った。当たり前だけどそれは、まず自分の中で番組に対するイメージを具体化しなければいけないということでもあって。私の企画がいかに抽象的で、なにがやりたいのか?という問いに対する言語化が甘かったかということを痛感した。私の企画書なのだから、私が1番愛をもって、責任をもって、細部のイメージも含めてひとつの世界観をつくらなければいけなかった。

そのためにも、カルチャーに対するセンサーを張り巡らせ、「おもしろいと思えるか?」を常にジャッジし、言語化という形でアウトプットしようと改めて思った。


講義後、そして次回へ。


あまりの情報量と芦田さんの持つ力強いパワーのようなものに2日間くらいぼーっとしていた。苦しんでうーーっと考え込むのではなく、もっと単純に、ワクワクに従って、思うままに、広げていこうという思いが、私の心でじんわり育っていくようだった。

だから、次の企画は、もっと感情に素直になって、迷わず強い思いをぶつけてみよう。そうやって思考を広げていくことができるように、心にゆとりをもって世界に目を向けられるように、生きていようと思う。

何度も同じことを言っている気がするけど、それはきっとそれだけ難しいからで、こうやって心揺さぶられるのはそれだけ熱い思いがあるからで、だからこそ何回もぶつかって、悩み続けるのだと思う。

阿部さんが肉声で届けてくれた、「言葉の企画は信頼できる仲間うちで実験できる場。狙いがあるなら振り切って」という言葉をひとつの標にして、今月も進もう。

(意訳ですが、私はこの言葉で落ち込んでいた気持ちが少し上を向きました。阿部さんが先頭に立って太陽のような愛情と熱量を届けてくださるから、どれだけ落ち込んでも、また全力に戻ることができます。改めて、阿部さん、ありがとうございます。)

次回は、どんなドラマが待ってるだろう。言葉の企画という実験場でどんな私がさらけ出されるか、そして企画生の中で揉まれた時なにを感じるか、楽しみだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?