見出し画像

「おいしい鍋と愛の話」あとがき


記念すべき、HitoYasuMiの劇場公演デビューの作品です。

お正月明けてすぐ、たった三日間の公演でしたが、頼りになるスタッフ、豪華な日替わりゲストさんとともに上演しました。ゲストは劇団ネコ脱出より高倉良文さん、ブラボーカンパニーより佐藤正和さん、インパルス堤下敦さん。本当に豪華…。

あの時は必死でした。
思えば、ここからたくさんのことが広がりました!

初めての劇場公演で反省ももちろんたくさんありましたが、色んなことに挑戦した公演。

ここから次の劇場公演を決めたり、外部で作演出の仕事を頂くようになったりと、ユニットにとっても、私にとってもターニングポイントになった公演です。

画像5

と、役者として、製作側としての思い入れもかなり強い作品ですが、

「あとがき」なので

作家として色々と振り返っていきたいと思います。

まず予告編なんですが「3年後の東京オリンピックを控えた、2017年冬」という出だし。

参照→
https://www.youtube.com/watch?v=7M9BqFDTfW4

今は別の感慨深さがあるというか。あの時誰もが2020年にオリンピックがあるもんだと思ってたもので(反対の意見ももちろんありましたが)不思議な気がしますね。

それはまあ、置いといて。



三好三姉妹シリーズ、「甘くないラテと恋の話」の続き
「おいしい鍋と愛の話」。

「ラテ恋」で失恋した長女、伊智子が「新しい経験」をしたり。

彼氏と別れて一歩踏み出した次女、芙実が仕事で悩んだり。

三女の紗苗は相変わらず…だけど、とある男性を姉妹の住む家に上げることになったり…と、

それぞれが抱えた事件が同時多発していくお話でした。

私は脚本を書くとき、その作品のテーマ曲みたいなものを決めます。

「ラテ恋」も「鍋愛」も、もっぱらガールズバンドを聴きながら書いていました。Yonige、赤い公園、ポルカドットスティングレイ、tricot、ガールズバンドじゃないけど、パスピエもかなり。そんなにバンドに詳しいわけではなかったんですが、三姉妹が同居する話なんてバンド曲が合うに決まってる!とひたすら聞いていました。購読された方はぜひ、ガールズバンドをBGMに読まれるとよりいいかも!

二十代半ばから後半にかけての三姉妹の葛藤は、私や、私の周りの女の子たちからもらったリアルなものを1DKサイズに、ギュギュッと詰め込みました。

布団

二十代最後の作品だったので「二十代で起きた出来事に決着をつける」という思いも込めていました。「ラテ恋」では、二十代の恋愛との決別。
今作では、また違う、ある出来事との決別の意を込めました。

お話したことないと思いますが、ほんのり語りたいと思います。明るい話ばっかとかじゃないんで、ほどほどのテンション感の音楽をBGMにしながらだと読みやすくなるかもしれません ( ◠‿◠ )


私は、一度芝居を辞めようと思った時がありました。「挫折」とか「迷い」とか、よくある、それです。当時のブログを読み返すと明るい内容しか書いてなくて怖いですね。とにかく元気でいなきゃいけないっていう強迫観念を感じます。ノイローゼ気味でお薬も飲んでたなんて誰にも分からないと思う。笑 暗黒期でした。

そしてその時支えてくれた友人がいたんですけど、そのあと彼女は亡くなってしまったんですよね。

若かったです。三つ上でした。永遠の大学生みたいな人で、お酒が大好きで、年上だけど年上っぽくない、楽しい友人でした。高校の頃は、毎週末のように二人で温泉に行く仲でした。初めての合コンは、彼女が連れてってくれました笑 ただ、彼女は病気でした。元気な病人でした。

彼女の死はショックな出来事でした。

亡くなるほどの病気だと思ってなかったんです。

共通の知人がいなかったので、お葬式があったことも知りませんでした。

しばらく、整理がつきませんでした。



「おいしい鍋と愛の話」

初めての劇場公演。二時間ほどの長編作。それがまた二十代最後の挑戦になるということになり

彼女へ、お別れの手紙を書くような気持ちで作品を書きました。

このやり場のない感情は、作品にしないといけないと
直感で思ったのです。

今から約7年前、例の暗黒期ですね。「東京辛い、芝居できない、でもまだやりたい」と、ボロボロになって長野に帰った時(実家の母に「なんでそんな翼の折れたエンジェルなの?」と聞かれて吹いた)長野でお世話になった人、みんなに会って、最後に彼女に会いに行ったんです。彼女は「元気出して〜」と、ありったけの長野野菜とお酒を私に飲ませて食べさせて、アートギャラリーを連れ回して、私に元気をくれました。

彼女に見送られて私は新幹線に乗り、その足で新宿のお好み焼き屋さんに向かい、そこで役者仲間に「芝居がやりたい」って言ったのをよく覚えています。

私の「再生」に、彼女は必要な人でした。

ですがその後、私のカフェ公演を見届けて、彼女は亡くなりました。



喪服

「おいしい鍋と愛のはなし」の劇中、芙実の生徒が亡くなります。

それは、唐突に若い命が消えることに遭遇した、私を重ねたシーンでもありました。

芙実の、どこにも矛先を向けることができない怒りと悲しみ。
そしてそれを、姉妹が支えます。

「もっと支えたい」「支えて欲しい」「孤独を感じないで欲しい」

今作で私が伝えたかったことです。

ひとりぼっちだと思ってた私を、家族や仲間が支えてくれたみたいに。

ありがとうと、これからもよろしく、を込めて。


ここから先は

1,051字 / 4画像

¥ 150

よろしければサポートしていただけると嬉しいです。 いただいたサポートは今後の執筆活動、創作活動に充てさせて頂きます。