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玉子焼き

私が中学生になって最初の頃、今までお弁当なんて作ったことがない父親がお弁当を作ってくれていた。

そんな父親が作るお弁当の中身は
白ごはんにのりたまふりかけ
ミートボール
ほうれん草を炒めた野菜炒めみたいなの
スーパーで買ってきた唐揚げかコロッケ
が定番だった。

白ごはんには、ミートボールのタレや野菜炒めからでる汁が染みこんで

お弁当箱に対しておかずの量が少ないからか
見事に毎回寄り弁だった。

お弁当は班で机を引っ付けて食べるスタイル。

喋りながら蓋を少しだけ開けて隙間から食べながら中身を整えていく。

そして開けても大丈夫な状態にもっていく術を私は身につけていった。

ただこの状態を続けるのは正直しんどかった。父親にも申し訳ない気持ちになって良くないと思っていた。

だったら自分で作ればいいやん!って。
その日に父親に自分で作る事を宣言した。

とは言っても私だってお弁当の事に関して何も知らない。でも毎日友達や周りの子たちのお弁当は見ていた。

まずおかずをアルミカップにいれているか仕切り付きのお弁当箱を使っていた。

おかずは、3から4種類くらい。

あと私の班の子たちのお弁当には、皆んな玉子焼きが入っていた。

田舎で暮らしていた頃、運動会や遠足の時に
食べていたおばあちゃんのお弁当には、そういえば玉子焼きが入っていた。

普段、目玉焼きは朝に良く食べた記憶があるけど玉子焼きを食べた記憶は無い。

きっとお弁当には玉子焼きを入れるんだ。

次の日の朝、いつもより30分早く起きてお弁当作りにとりかかろうとした。

でもしばらく立ったままで動けなかった。

お弁当って何からしたらいいか分からなかった。

とりあえずお弁当に入れるお惣菜と白ごはんをお茶碗に一杯チンをした。

あとは、玉子焼き。

卵何個使う?

私だけやから1個でいいか。

ボウルに割り入れてとりあえず混ぜる。

味付け。。。

父親も起きてきて仕事に行く準備をしだす。

父親「大丈夫か?できるか?」

私「玉子焼きって味付け何やと思う?」

父親「玉子焼き作ったことないから分からん」

父親「塩コショウでいいんちゃう?」

お父さん塩コショウしか知らんしな。

兄も起きてきて部屋の中がバタバタしだした。

私も早くしないと学校へ行く時間が迫ってる。

私「とりあえず塩コショウでやってみるわ!」

塩コショウを適当に振り入れよく混ぜる。

フライパンを温めて時計を見るとあと20分しかない。あかん。時間ない。フライパンを温めてる間に顔洗って髪の毛くくって。

父親がトーストしてくれた食パンと牛乳を飲みながら食べながらフライパンに油を流し入れた。

そこに混ぜた卵をジャッーっと全部入れてお箸でぐるぐるぐるぐる〜って固まるまでかき混ぜた。

時計をチラチラ気にしながら、とりあえず火を止めて時間ない!時間ない!と焦りながら制服に着替え又お弁当つくりに取り掛かる。

えーどうしよう。気持ちが焦る。

とりあえず皆んなのお弁当を思い出して白ごはんを入れて唐揚げ3つくらい入れてコロッケ入れたら、なんかうまく入らへん。平べったいからコロッケがうまく入れへん。

しかも薄々自分でも気づいてたけど玉子焼きじゃなくてスクランブルエッグ作ってるし。

泣きそうになりながらどうしようって言ってても父親は先に仕事に行き兄も自分の用意をしている。

あーもうスクランブルエッグは、ご飯の上にかけてコロッケは、半分に切って唐揚げの隣に立てかけるように入れた。

あかんまだ隙間がある。ミートボールは、いやや。でも入れるもの無い。

あーもう何でもいい!
アルミホイルを適当にちぎって丸めて隙間に入れて蓋をしてお弁当袋にお箸と一緒に入れてカバンに入れて歯磨きをして急いで家を出た。

いつも以上にバタバタとした朝だった。

お弁当の時間。

蓋をそっと開けたら朝作ったままの状態だった。私は、アルミボール入れて良かったって思った。

友達には、ご飯の上にスクランブルエッグが美味しそうに見えたのか美味しそうと言ってもらえた。

嬉しかった。

それから私は、皆んなのお弁当を参考にアルミカップを父親に買ってもらってお弁当箱もおかず3種類入れればピッタリな少し小さなサイズを買った。

朝からバタバタだった初日が大変過ぎたから
30分から1時間早く起きるようにした。

玉子焼きは、学校から帰って練習した。

皆んなの玉子焼きを思い出しながら

塩コショウで味付けした卵をフライパンに流し入れて端からクルクルというよりパタンパタンって折り畳んでいく感じにしか巻けなかったけど、それらしい玉子焼きが出来上がった。

ただ1個の卵だと薄っぺらい玉子焼きになる。
それなら卵を2個使って作ってみたり。

何ヶ月もそんな事を繰り返しながらお弁当を作り続けた。

朝1時間前に起きなくても時間内に作れるようになった。

おかずの詰めかたも自分なりに上手く詰めれるようになった。

隙間から食べなくなった。


あれから20数年。

私は、この間に玉子焼きには家庭の味があって甘かったりお出汁の味が効いてたり醤油ベースだったりする事を知った。

それぞれの好みの味付けや焼き加減があって
お弁当だけじゃなく朝や夜に食べる事も知った。

玉子焼き専用のフライパンで焼くと角がキレイになって形の良い玉子焼きが作れる事を知った。

味付けした卵を全部ジャーッと入れるんじゃなくて何回かに分けて入れて折りたたんでいく事を知った。

この20数年で私の玉子焼きが出来上がっていった。

卵  2個

お水 小さじ1くらい(入れると時間が経った時にパサッとしない。らしい。)

砂糖 適当(だいたい小さじ半分くらい)

醤油 2プッシュくらい(小さじ1くらい)

カットネギ 親指、人差し指、中指で軽く掴めるくらい(好みで)

よく混ぜる
熱したフライパンに油を適量入れて3回に分けて卵液を入れてひと混ぜする。
端を寄せて奥から折りたたんで奥にずらす。
玉子焼きをお箸で持ち上げて2回目の卵液を流し入れる。1回目の時と一緒。
3回目も一緒。
4等分にカットしてカットした面も焼き色がつく程度焼く。
最近少し減量をしてるので玉子焼きメインのいつかの
旦那さん弁当

お弁当は、昔と変わらずあまり頑張らない派。お惣菜や冷凍食品も使う。たまに残り物。

味は、醤油ベース。ネギがいいアクセント。
カットした断面も焼くのは、汁っぽくなるから。

娘は、ネギが嫌いだから娘のお弁当には代わりに青のりやとろけるチーズを入れたりする。

息子は、玉子焼きより目玉焼き派。

私は、私の玉子焼きが1番好きだ。


皆さんは、玉子焼き好きですか?




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私と父親の事書いています。

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