【すべらない話】着払い
これは僕の実話です。今年(2023年)の6月あたりの出来事。
すべらない話だと思うので、ぜひ最後まで読んで笑っていただければと思います。
まず、僕の家は2軒あります。僕の祖父祖母の家と、両親の家です。それぞれ「母屋」と「離れ」と呼ぶことにします。
母屋は古いので、屋内の便座は暖かくする機能が存在しません。そのため、母屋にいて用を足したい時(大)は、屋外にあるトイレを使用していました。
また、僕が母屋にいるのは、基本的に夕食の時だけです。離れにいるときはきちんとしたトイレが存在するので、母屋の屋外のトイレはほとんど使いません。
そんなある日、珍しくそのトイレを使っていたところ、すぐそばから「ピンポーン」とインターホンの鳴る音が聞こえました。
誰か来た……。面倒ごとになると嫌だなと思いつつも、扉を隔てたすぐ向こうには宅配便の方がいますし、電気で丸わかりなので、応答するしかないという非常事態に陥りました。
おそるおそる扉を開けてみると、宅配便の方がいらっしゃったのですが……、
宅配便の方「あのー、◯◯円払ってください」
え?
まさかの着払い。どうやら姉の参考書代だったのですが、その当人の姉は絶賛入浴中。なんとかして僕が払うしかなく、姉から離れの鍵をもらい、宅配便の方には待ってもらって、お金を捻出する羽目になりました。本当になんとか、なんとか、お金を払えたから良かったものの、払えなかったらどうしようかと頭が真っ白になっていました。
宅配便の方から見れば家を右往左往ダッシュしているヤバい人にしか見えなかったと思います。本当に人生で一番気まずかったと言っても過言ではありません。こんな僕を、宅配便の方が優しく待ってくれて本当にありがたい限りです……。
欠いていた冷静さを取り戻し、ふと離れのダイニングのテーブルを見ると、そこには一つの封筒が……。まさかと思い開けて見ると、その中には、母が予め用意した、参考書用の代金が入っていました。
以上がこの話の全貌です。そもそも母屋の外のトイレを使うのが稀なのに、偶然そこに宅配便がやってきて、偶然着払いで、偶然姉はお風呂に入っているという奇跡に奇跡が重なった不運は、バナナの皮で滑って転ぶくらい珍しいと思います。そして何より僕は悪くないのが最高に面白いです。
ここから補足ですが、封筒を見つけていたところで、多分同じ目に遭ってた可能性は高いと思います。なんと封筒の中には、その参考書の代金に加え、別の物のための代金が同封されていました。そしてその額が1,999円と、小銭まみれで嫌がらせとしか思えない額でした。どこまで僕を陥れば気が済むんだ……。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?