見出し画像

『重い腰』




 何かを後回しにしたり、やろうと決めたことが見事に続かなかったりする度に、自分自身に対して嫌気がさしてしまう。
 
 袋麺のアレンジレシピや洗濯物の合理的な干し方を調べて生活を少しでも豊かにしたいとは常々思っているし、インスタでお気に入りに保存しまくって凄い数になっているレシピだってそのうち作ってみようとは思っている。もう何ヶ月も前から部屋の隅でそのままになっているダンボールの山を捨てるためにいい加減ちゃんと資源ゴミの回収日を調べるぞと胸の内ではそりゃ決意だってしているわけで、引っ越してから実は未だ繋がれていないCDプレーヤーの配線だっていよいよ遂に繋げようかなとか。寝る前に少しずつ勉強しようと意気込んで購入したExcelの本は、Chapter1の03「行の高さを調整して見やすさを確保する」のページに未開封のマイナンバーカード交付申請書の封筒がしおりの代わりに挟んだままだけれど。(こんな封筒届いてたっけ。そのうち申請すっか!)……そういえば昔から、宿題もテスト勉強も追い込まれないとできないタイプだった。

 確かイチロー氏が言っていた「小さな努力を積み重ねる」ことを自分なりに実行できていれば、目の前の現状もひょっとしたら変わっていたかもしれないなどと考えて、時々胸が苦しくなる。そうかといって、じゃあストイックに自分自身を追い込めるほどなりたかった自分があったかと問われれば、恥ずかしいけれどそんな立派なビジョンも人生設計もなかった。こんなこと決して胸を張って言えないけれど、行き当たりばったりでここまで来てしまったのが正直なところだ。

 しかしこんな中途半端野郎でも、やりたいことだけに限っては「今やらないとこれからもきっとやらない」ことを心得ているつもりだ。今日は、ようやく重い腰を上げてジーンズの裾上げをしてもらい、帰宅してからふと思い立ってこの文章を書くことにしたのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?