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たかがボタン、されどボタン

 私は裁縫が苦手だ。
 でも、なぜか小学校4年生で初めて入部したクラブは『家庭科クラブ』で、やたらと刺繍をしていた。未だになぜそこに入ったのか、その理由は分からない。それくらい、今の私は針と糸を持つことが好きではない。
 
 それでも、今日は息子の制服のボタンが取れ、手先の器用な夫もやろうとしなかったので、渋々私は針と糸を持った。
 
 ものの数分で終わることが、私にとっては、料理をするよりも掃除をするよりも気が重い。
 なんでこれほどと思うが、こればかりはどうしようもない。

 付け方は一応知っている。
 しかし、針に糸を通す前に、糸が手にまとわりついたり、穴に通した糸がまた抜けたり、制服が濃紺なので糸がよく見えなかったりで、四苦八苦。
 針を刺す位置も、表と裏で微妙にズレたりして、イライラしてくる。

 それでもやり始めれば、下手なりになんとかボタンは縫い付けられた。結果、10分もかからなかったかもしれない。なのに、私にとっては1時間くらいの負担感。
 
 やればできるじゃないか。

 ただ、最後の玉結びの位置が緩んでしまい、早いうちにまたボタンが取れそうになることも予想される。その時はもう夫に任せよう。やはり、ボタンは私をお呼びでない。

 ともあれ、今日は自分を褒めて良いと思う。先延ばしにせず、逃げずに私はよくやった。
 何であれ、やったのだ。


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