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Origins研究会について

はじめての方は、こちらをご一読いただければ幸いです。

Origins研究会とは

筆者が個人で運営している海外ゲームの個人輸入サークルというのが妥当な表現だと自分では思っています。
現在はおもにION Game Designの新作を個人で購入しつつ、年に2回のゲームマーケットや通販でそれらを頒布しています。法人ではありません。

なんでこんなことを始めたのですか

もとより1980年代のSPIや旧アバロン・ヒルの時代から「アナログゲーム」が大好きだった筆者は、いつしか国内のショップが販売するゲームを買って遊ぶだけでは飽き足らず、海外からゲームを個人でバンバン買って翻訳して遊んだりしていました(1ドルが80円だった円高の時代もあったんですよ…)。

もともとPCゲームの「Sid Meiey's Civilization」シリーズにも初代(1981年)からドはまりしていたことから、いわゆる「人類文明の進化」系のアナログゲームにも積極的に手を出していた筆者は、そんな中でふとPhil Eklund(Eklund)というデザイナーがSierra Madre Games(SMG社)というメーカー(ほどなく判明しましたが、このデザイナーの個人会社でした)でリリースした「Origins: How We Became Human」(2007)の存在を知り、他のアナログゲーム群と一緒に1個だけ個人輸入することになります。15年以上前のことですね。

同ゲームの美しいコンポーネントに魅せられた筆者は、さっそくこれを訳してソロプレイをするなり一撃ではまりました。特に「類人猿の脳のキューブを除くことで現生人類に進化する」「キューブの総数は固定で、それをいかにうまく回すかが重要」というアナログゲームとしての素晴らしいデザインに感動しましたね。

当時SMG社と契約をして輸入販売したり日本版を出すという日本法人の動きも別になかったようなので「こんな面白いものを自分だけで楽しむのはもったいない」という強い思いから「これを日本の友達やゲーマーに広めたい」と考えたため、当時は浅草で年に1回開かれていたゲームマーケットにサークル「Origins研究会」として参加し、SMG社からはこのゲームを1箱(たしか5個)を購入して、適当に赤字にならない程度の値段をつけて会場で並べたのが、そのなりたちです。それらは当日のうちに好評に完売しました。

同ゲームはいまは正当進化した「Bios:Origins」があるので敢えて今から初代をプレイする必要もさほどないと思いますが、こういう歴史なのでした。
ええ、だからウチのサークルは今でも「Origins研究会」なんですよ(笑)。

そこからの流れ

自分はそれまでSMG社の存在やEklundというデザイナーは知らなかったのですが、実は昔からAmerican Megafauna(1997)だののサイエンス系の重厚ゲームを出していた、その筋のかたにはおなじみのデザイナーであると後に知ります(笑)。

それはそれとして自分は別に何も隠しもせず、それからはEklundにメールでコンタクトして「俺はお前のゲームが気に入ったので日本のゲーマーに売りたい」「マニュアルを日本語に訳したぞ」(これは今もBGGにリンクしてあります)「売り切れたのでまた1箱2箱買うよ」「他のお前の過去作もまだ売ってるようなら売ってくれ」「Originsのデザインを解読して攻略同人誌を作ったので送るから読んでくれ。日本語だけど」とか色々と連絡を取るうちに、いつの間にかなんとなくSMG社の日本の販売店のようなポジになりました。特に同社と契約とかを結んでいるわけではないものの、別に隠してないんで言いますと自分にはここのゲームを定価でなく卸値で売ってくれるようになりました。今もあくまで個人の趣味の延長なんですけどね。
もしどこかの日本の会社なりが「うちがSMG社と独占販売契約を結ぶことにしたので、もうそれやめてください」と言ってきたら「ありがとうございます!ぜひたくさん売ってくださいね!」と言いつつ喜んで手を引くんですけど、そのようなこともなく現在に至っております(笑)。まあ新作の都度、マニア向けに5-30個くらいずつ売れるという規模ですしね…。

Eklundゲームではないのですが、テンデイズゲームズがPax PamirなどのION系ゲームの「日本語版」を出しているのは心から応援しつつ自分も1個買っております。

なお、攻略同人誌の存在を思い出したので、ここで無償公開することにしました。ご興味のある方はどうぞ。

High Frontierの大ヒット

自分はEklundというデザイナーを応援することに決めたので、それからも「Origins研究会」としてゲームマーケットへの参加を現在に至るまで続け、取り寄せた過去作や新作も仕入れてそこに並べるようになりました。
自分にとっては「EklundといえばOriginsのデザイナー」だったわけですが「EklundといえばAmerican MegafaunaやInsectaのデザイナー」であった古老マニアも含めて、これはとても好評の流れでした。

自分はSMG社から卸値で買えている関係から、ゲームマーケットで自分から買うほうが自力で海外販売サイトなどから1個輸入するより楽だし、たぶん安上がりであろうというのも普通の理由だと思っています。

そしてその後に出た「High Frontier」(2010)が爆発的なヒット作になりました。Origins研究会では仕入れるそばから出ていった印象ですね。まあ今よりもだいぶ円高で値段も安かったというのもあるんでしょうけど、たぶん最終的には50個くらいは売ったんじゃないかな?

後継作品である最新第4版の「High Fromtier 4 All」(2020)が現在も大好評頒布中であり「Eklundと言えばHigh Frontier」の方も現在は普通にいらっしゃるのではないかと思います。それでいいと思っています。

SMGからIONへ

そんなわけで「Origins研究会」とSMG社の良好な関係はずっと続いていたのですが、個人的にも色々あったようでEklundがアリゾナ州にあった自分のSMG社を事実上閉鎖します。※今もドメインだけは残っていました

それからPhil Eklundは息子のMatt Eklundとスウェーデンに移住してION Game Design(ION社)の傘下に入ることになりました。

筆者は「この素晴らしいゲームデザイナーEklundはこれからもずっと応援していこう」と決めているのが現在もこんなことをやっている主因ですけど、とはいえ「Phil Eklundデザイン以外のゲームはどうでもいいです」と思っているわけでもないし(面白いアナログゲームはなんでも歓迎ですよ!)、結局のところION社にもどこかの法人が「うちが独占販売契約を結ぶのでそれやめてください」と言ってくるような動きもないようであり、日本代理店もない同社のゲームを扱うことには今も一定のマニアの支持もついているようであり、ION社でもSMG社と同様に今も自分には卸値で販売してくれているので、じゃあまあ活動を止める理由もないなということで現在に至っております。皆様の喜ぶ顔が見られるのは励みになります。

別に隠しませんけど「それなりの手間とリスクをかけたうえで、さらに赤字運営ではさすがに皆様の喜ぶ顔は観たいにしても、やってられない」ので当然自分は卸値に乗せた頒布価格を設定して皆様に提供しています。とはいえ正直なところどんぶり勘定なので、もしかしたら「ちゃんとコスト計算をしてみたら赤字だった」みたいになってる可能性はありますが(笑)。特に法人なら普通にやる「保管コスト」を倉庫代か何かで真面目に計算したらたぶん確実に赤字です。それは自宅物置が一杯になっているのを目をつぶっているだけの話なのですが。あと正直、円安はかなりキツイです。
まあ一応「皆様が自力で1個IONサイトから注文して定価と送料をドルで支払ったものを円換算した数字よりは安い筈だが」と適当に設定しています。ご理解いただければ幸いです。

実際、僕はPhil Eklundは最大限にリスペクトしているデザイナーですけど、Jon Mankerさんもかなり好きなデザイナーになったので「IONの新作はとりあえずぜんぶ最低2個は予約買い」(1個は自分で遊ぶ用)は続けますし、当面は続ける予定です。円安はかなりキツイですが。

ちなみにEklundだけにこだわってないのは、SMG社の時代でもそこを経由してFat Messia Games社やドイツの会社やらのゲームを入れて並べていたようなこともやっていた頃からです。まあぜんぜん売れませんでしたけど。

ただ正直、近年のIONは割と手を広げていてあんた誰なデザイナーの新作も発売予定に入っているし単純に新作予定の点数が多いので、よく分からないゲームの予約数は控え目になる傾向にあります。まあ基本は「売れるようならまた注文すればいいや」なんですけど。

あと近年、IONがKickStarterに手を出して、実のところコレは昔からEklundゲームを自分で輸入していた古老のマニアが自分で遊ぶ1個だけを購入するにはすこぶる好都合である(実のところ最終的な市販価格よりかなり安いです)ので、Eklundのマニアはそれを利用していて自分の所は利用していないフシもあるのですが、それはぜんぜんOKなのでした。

現在に至る

こんな感じです。ここまで読んで「Origins研究会」の活動趣旨にご賛同いただける方は、引き続きご利用いただければと思います。

日本語の翻訳マニュアルについて(2023/1/21追記)

基本的に日本語が添付されていない海外のアナログゲームを頒布しているので、マニュアルの日本語翻訳は必須ですし、内容によってはカード訳も必須です。その意味で原則、日本語訳は利用可能な状況にします。

独力でやっていた昔はそれらは全部自力で訳すしかなかったのですが、近年の作品の多くの日本語訳は、BGGの個別ゲームのページで一緒に無料公開されており、誰もがダウンロード可能であり、さらにそれらはたいていSunfishさんというかNakamuraさん(N村さんと言ったほうが早いでしょうね)が翻訳を行い、提供しています。

これ自体はN村さんがご本人の趣味でやっていることで「Origins研究会」から依頼した性質のものではないので「和訳マニュアルは自分でBGGからダウンロードしてください」で済ませるのも可能なのですが、自分としては何より自分が手間をかけて訳す必要がなくなったし質的にもそのほうが良いのでぜひ続けて欲しいことから、ご本人に些少なりとも「利用させていただいている謝礼」(そのゲームのアクセサリーを差し上げたりとか)をお渡ししつつ、扱いゲームではそれを紹介してダウンロードを推奨したり、紙の形で欲しいかたにはプリントアウトを別途有償で提供を続けています。

自分の翻訳も「プレイに支障が出るほどの致命的な誤訳はない、たぶん」という程度の品質は保てていると自分では思っているのですが、その反面「訳さなくてもプレイには支障がない」部分はばっさり省略していることもしばしばあります。
ただし「Eklundゲームでは知らなくてもゲームに支障は出ないかもしれないけど、そういう背景知識のうんちくこそが大事なんだよ!」という話もあるので(笑)、そういう所にこそ凝ってくれているN村さんの翻訳スタイルのほうがかなりEklundゲームには適していると言えます。
また、そもそもEklund自体がそういう背景知識をノリノリで凝るデザイナーでもあることから(だからみんな大好きなんですが)、極めて頻繁にマニュアルのアップデートを行っています。たいていゲーム本体に付属している紙のマニュアルはすでにその時点で古いです。その意味でも、その辺を即座にチェックして最新版への対応翻訳を続けられるN村さんスタイルのほうがEklundゲームには自分より向いていると言えるでしょう。
これが自分でも「基本、最新版を自分で無料ダウンロードしてタブレットなどで読むことを強く推奨。敢えてご希望の方にはPDF印刷を有償で別途つけますが…」としている主因です。

以上の事情を踏まえたうえで、仮にN村さんが翻訳担当をした日本語の部分に何か誤訳やお気づきの点が発見された場合には「Origins研究会」にご連絡をいただいても連絡はつきますが、たぶんご本人に連絡を入れたほうが早いです。N村さんが翻訳担当をしていない部分(=自分の訳)については、「Origins研究会」にご連絡をしていただくしかありませんが。

よろしくお願いします。



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