マガジンのカバー画像

原作『攻殻機動隊』 全話解説

5
『攻殻機動隊』解説記事の一覧です
運営しているクリエイター

記事一覧

原作『攻殻機動隊』全話解説 [第六話]

前回[第4・5話] 第六話 ROBOT RONDO第六話は押井守監督『イノセンス』の土台となったエピソードとして有名です。バトー・トグサ コンビがこの回の主役となっており、刑事モノとしての読み応えがあります。ストーリーはシンプルで読みやすいです。 (電子書籍の方はページ数をプラス4してください) P106・107 腹の出た中年男性(殿田大佐)が屋内でゴルフを楽しんでいます。電脳空間ではなく立体映像室だそうです。最近はVRでこういう設備ありますよね。 そこに呼び寄せたア

原作『攻殻機動隊』全話解説 [第4・5話]

前回[第三話] 四話と五話は士郎正宗によるSFエッセイのような趣の短編です。本来は本編の小休止のような回なのですが、このたった10pの漫画が押井版『攻殻機動隊』(GITS)に多大な影響を与えています。GITSの最大の「原作」はこの5話と言っても過言ではないでしょう。 この二話は正直とくに解説することはないので、レビュー的な記事にしたいと思います。 第四話はフチコマがロボット反乱の決起集会を開くという短編です。でもロボットが人間を支配したところで管理が大変だしメリットがな

原作『攻殻機動隊』全話解説 [第三話]

前回 [第二話] 第三話 JUNK JUNGLE第三話は「確かに写ってたんだ」でお馴染み押井版「攻殻機動隊」(GITS)の骨子に使われたエピソードであり、さらには衝撃的なサービスシーンもあったり、漫画「攻殻機動隊」を象徴する非常にアイコニックな回です。そして光学迷彩で透明化した者同士の戦闘シーンは、この漫画最大の難所といっていいほど難解です。 さらには複雑な外交政治、陰謀、策略、表面的なストーリーの裏側で、さまざまな物語が同時進行する非常に複雑な回になっています。この事件の

原作『攻殻機動隊』全話解説 [第二話]

前回 [第一話] 第二話 SUPER SPARTAN第二話は原作の攻殻機動隊を象徴する名作回であると同時に、実は非常に不親切で難解な漫画になっています。噛めば噛むほど味のするとてもおもしろい回です。一度読んでそれっきりの人は、ぜひ再読してみて下さい。必ず発見があるはずです。 単行本の第一話は単行本収録時に描き下ろされたものであるため、連載順では本作が『攻殻機動隊』の第一作目となります。 (電子書籍の方はページ数をプラス4してください) p10・11 2029年4月10日

原作『攻殻機動隊』全話解説 [第一話]

みなさんは『攻殻機動隊』と聞いてどれを思い浮かべるでしょうか。押井守の最初の劇場版でしょうか、それとも神山健治のSACシリーズでしょうか。ハリウッドの実写版を思い出す方もおられるかもしれません。 しかしながら、私にとっての”攻殻”は士郎正宗による漫画『攻殻機動隊』なのです。はじめてこの漫画を読んだときは、世にこれほどまでに面白い漫画が存在するのかと震えました。未だに私にとっての漫画の最高傑作です。しかし、この原作漫画はアニメシリーズと比較して、残念ながら知名度が高いとはいえ