ヒットのメカニズムがわかるようになる『ヒット商品分析図鑑』 #5 インスタントラーメン/カップラーメン
世界中で年間1000億食以上が消費されているインスタントラーメンやカップラーメン。
そんなインスタントラーメンやカップラーメンは、実は、天ぷらや海外の食文化などをヒントに誕生したことを知っていますか?
【1】インスタントラーメン/カップラーメンについて
1. 商品名・サービス名
インスタントラーメン/カップラーメン
2. 発明年・発明者
インスタントラーメン:1958年 安藤百福
カップラーメン:1971年 安藤百福
3. 概要
インスタントラーメンは、お湯を入れるだけで簡単に調理できるラーメン。世界初のインスタントラーメンであるチキンラーメンは、2004年には累計50億食を突破し、今も多くの人々に親しまれている。
インスタントラーメンは、広義では「ラーメン」という範囲を超え、うどんや蕎麦、焼そばなども含めた、多種多様に存在する「袋入り即席麺」および「カップ入り即席麺」の全てを指すことが多い。
【2】SCAMPER解説
日本が連合国軍に降伏した1945年8月15日、世界初のインスタントラーメンの開発者である「安藤百福(ももふく)」は、戦争で傷ついた地元の大阪を歩いていました。
(出典:https://www.nissin.com/jp/about/chronicle/)
そこでふと、ラーメンを食べるために屋台に行列をなす人々を見かけます。
その姿を見た安藤氏は、
「すべての人に十分な食料があれば、世界に平和が訪れる」
と考えるようになりました。
そして、その約10年後、安藤氏は以下の目標を掲げ、「お湯があればどこでも食べられるラーメン」の開発をはじめます。
■安藤が掲げた目標
・美味しくて飽きがこない味であること
・家庭の台所に常備できる保存性があること
・調理に手間がかからないようにすること
・値段が安いこと
・安全で衛生的であること
<2-1>Adapt(応用する):天ぷら調理中に起こる「油が水分をはじき出す」現象を応用
麺づくりの素人であった安藤氏は、山のような試作品を作っては捨て、作っては捨ての日々を送っていました。
長い時間をかけ、ようやく理想的な味の実現に成功はしたものの、次の課題は「長期保存するための乾燥方法」でした。
そんな中、妻が天ぷらを調理している姿を見て、熱い油の中に入れられた小麦粉の衣が水分をはじき出していることに気づきます。
安藤氏はこのヒントをもとに、麺を熱い油に入れることで水分を抜くことに成功しました。
(出典:https://gigazine.net/news/20151120-maruchan-seimen-cup-interview/)
さらに、水分を抜くときに麺の表面にできる小さな穴によって、注いだお湯の吸収効率が上がり、調理が早くなる効果があることもわかりました。
こうして、世界初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」が完成したのです。
(出典:https://www.nissin.com/jp/about/chronicle/)
<2-2>Modify(修正する):どんぶりと箸がなくても食べれるように「包装材料、調理器具、食器」の役割を果たす容器に改良
安藤氏は、世界初のインスタントラーメン(チキンラーメン)の発明者であると同時に、世界初のカップラーメン(カップヌードル)の発明者でもあります。
世界初のカップラーメンの誕生は1966年、チキンラーメンの海外展開に向けて、安藤氏が視察に訪れた欧米での出来事がきっかけでした。
(出典:https://www.nissin.com/jp/about/chronicle/)
当時、チキンラーメンの売りは、どんぶりと箸さえあれば、いつでもどこでも食べられることでした。
しかし、欧米にはどんぶりも箸もありませんでした。
そのため、視察先のスーパーの担当者たちにチキンラーメンを渡すと、それを小さく割って紙コップに入れ、お湯を注いだ後、フォークで食べ始めたのです。
この食習慣の違いを目の当たりにした安藤氏は、再び研究を重ね、インスタントラーメンが入った容器自体が「包装材料、調理器具、食器」の3役を果たすような画期的な商品を生み出しました。
それが、1971年に発売された「カップヌードル」です。
※ちなみに、当時の欧米では「ラーメン」という言葉がまだ一般的でなかったため「ヌードル(=麺類)」に名称を寄せました。
このように、容器を新しく開発したことで生まれた「カップヌードル」は、その後世界で爆発的にヒットしていきました。
(出典:https://www.nissin.com/jp/about/chronicle/)
■インスタントラーメン/カップラーメンをSCAMPERに当てはめると
Adapt(応用する)
天ぷら調理中に起こる「油が水分をはじき出す」現象を応用
Modify(修正する)
どんぶりと箸がなくても食べれるように「包装材料、調理器具、食器」の役割を果たす容器に改良
【3】おわりに
ヒット商品分析図鑑では、今後も世の中のヒット商品をSCAMPERに当てはめて解説し、ヒットの法則に迫っていきます。
ヒット商品分析ラボは、「ヒット商品を分析することでヒットの法則を探究する」をテーマに様々な勉強会やワークショップを行なっています。
これからも良質な学びが得られる記事をたくさん投稿していきますので、興味がある人はぜひnoteのフォロー・スキをよろしくお願いします。
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