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荒野の七人は永遠に不滅です

イーライ・ウォラックの死去が報じられました(2014年6月14日ニューヨークで死去)。

舞台や映画で長く活躍し、トニー賞やエミー賞も受賞している名優ですが、私にとってこの人は、永遠に「荒野の七人」の山賊の親玉カルベラです。

 1960年に製作された「荒野の七人」は私のオールタイムベストワン級作品ですが、気がつけばもう50年以上も前の映画なんですね。それこそ何十回以上も見ていますが、何度見ても抜群に面白い映画であることに間違いはありません。その映画で悪役カルベラを演じて「七人」と堂々と渡りあって見せたイーライ・ウォラックの名演は忘れられるものではありません。合掌。

われわれ世代の映画好きでは、主役の「七人」の役名と演じた俳優をすらすらと言うのは常識でした。ここで、そのおさらいをしてみましょうか。

 「リーダーのクリス」は、ユル・ブリンナー

 「早撃ちのヴィン」は、スティーブ・マックイーン

 「若きガンマンのチコ」は、ホルスト・ブッフホルツ

 「凄腕のオライリー」は、チャールズ・ブロンソン

 「ナイフ名人のブリット」は、ジェームズ・コバーン

 「ヤマ師のハリー」は、ブラッド・デクスター

 「洒落者のリー」は、ロバート・ヴォーン

この映画の発案者で、当時すでに主演級だったユル・ブリンナー以外は売り出し前の役者ばかり。彼らの大部分はこの映画をきっかけに、その後、主演級にのし上がっていきました。少しでも映画を見てきた人ならば、彼らのうちの誰かの顔を、スクリーンやブラウン管(もう古い言い方ですねえ)で見ているはずです。

そんな「七人」も、あれから半世紀、すでに鬼籍に入っている人がほとんどです。ちなみに彼らの生没年を調べてみると、こうでした。

 ユル・ブリンナー(1920年生)1985年没(65歳)

 スティーブ・マックイーン(1930年生)1980年没(50歳)

 ホルスト・ブッフホルツ(1933年生)2003年没(69歳)

 チャールズ・ブロンソン(1921年生)2003年没(81歳)

 ジェームズ・コバーン(1928年生)2002年没(74歳)

 ブラッド・デクスター(1917年生)2002年没(85歳)

 ロバート・ヴォーン(1932年生)

ああ、健在なのはもうロバート・ヴォーンだけなんですね。皮肉にも、映画の中で最も死の影に怯える役だった彼が、一番長生きしているとは。

そう思って見ていたら、じつはもっと皮肉なことに気づきました。


【この先はネタバレになりますので、映画「荒野の七人」を未見の方はご遠慮を】


壮絶な山賊との銃撃戦の末、みごとに村を守った「七人」ですが、その闘いを生き延びたのはクリス、ヴィン、チコの三人だけ。残りの四人は壮絶に散っていきます。

その生き残りの三人を演じた俳優たちのほうが、実際には早死にしているのです。

50歳で夭逝したマックイーンはもちろん、ブリンナーも65歳で、そして「七人」のなかでいちばん若かったブッフホルツも60代で亡くなっています。

逆に映画で討ち死にした四人のほうは全員が21世紀を迎え、最後の一人になったヴォーンは今も81歳で健在です。

そして、映画の中では誰よりも憎まれた山賊カルベラを演じ、「七人」の誰よりも年長だったイーライ・ウォラックが、誰よりも長寿を賜ったとは、人生とは面白いものですよねえ。

  映画つれづれ 目次

〔2016/11/13 追記〕 2016年11月11日、ついに最後の一人、ロバート・ヴォーンが世を去った。83歳だった。合掌。おりしもこちらで「マグニフィセント・セブン」が公開されるというタイミングでの訃報だった。これで「七人」全員があちらにそろったので、あちらで「荒野の七人」をリメイクすることだろう。あちらに行ったときに見せてもらうのを、楽しみにしているよ。

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