ジャッキー・チェンと勝負する・追撃戦(1)

というわけで「ジャッキー・チェンと勝負する」でずっと追いかけてきた「隔週刊ジャッキー・チェンDVDコレクション」の終了後も、未収録作品を追いかけ続ける、あきらめの悪い企画第1弾。

最初を飾るのは「キャノンボール2」(Cannonball Run II〔炮彈飛車續集〕)1984年の作品です。

1981年の「キャノンボール」の続編。映画は3年空いてても、映画の中では1年後のお話。

前年のレースで一敗地にまみれた石油王が、リベンジのために自らキャノンボールラリーを主催。賞金100万ドルを目当てに、ふたたび車バカどもが集結するというわけで、ストーリーそのものはほとんど前作と同じなので意味なし。

しかし、さすがはアジア1の辣腕プロデューサー(当時の推定)であったレイモンド・チョウ(鄒文懷)、たいていはスケールダウンしがちな続編企画を、前作以上の豪華キャストで飾って見せたのには脱帽だ。

前作に出ていたバート・レイノルズ、ディーン・マーチン、サミー・デイビス・ジュニア、ドム・デルイスら中核をなす大物は、ほぼ引き続き参加。またサイドを固めて印象を残したジャック・イーラムやジェイミー・ファーらも確保し、さらにフランク・シナトラ、テリー・サバラス、リカルド・モンタルバン、シャーリー・マクレーン、マリル・ヘナー、シド・シーザーらも不必要なまでに投入。こうなると前作で強烈だったランボルギーニのお色気美女コンビがスーザン・アントン&キャサリン・バックとやや小粒になったとか、もうどうでもよくなってくる。

そのわりには、映画そのものはスケール感も乏しく、大した出来にはなっていない。まあ前作と同じく、各スターの出演シーンのつぎはぎで、全体のまとまりを欠いているせいだろう。

それに、途中でギャングとの争いがメインになってしまって、肝心の街道レースシーンがひどく乏しい(矢印がアメリカの絵地図を走る安っぽいアニメだけで、あとはすべて省略)せいもある。このへんで前作を下回っている。

総じて、残念な出来栄えの続編だ。ま、ヒット作の続編なんてほとんどはそんなもんだろうし、これはこれで儲かったんだろう。このあともう一本作られているからね(ジャッキーは不出演)

さて、そんな「はずれの続編」のなかで、ジャッキー・チェンの活躍は?

ジャッキーの役は、前作と同じく日本からの参加メンバー。ただバックはスバルから三菱に変更。すごいハイテクカーって設定らしく、空飛んだり水中に潜ったりと、007のボンドカー真っ青。いやいや、日本車の技術もそこまでスゴクないから。

前作では曲がりなりにも日本語らしきセリフをしゃべっていたが、今回はもう何語かわからないような言語を早口でしゃべる「謎の東洋人」

相棒はミスター・ブーことマイケル・ホイから、「007/私を愛したスパイ」のミスター・ジョーズこと巨漢リチャード・キールに変更。どういう意味がある変更なんだかはよくわからん。こちらはちゃんと英語しゃべるし。

けっきょくジャッキーがどんなキャラなのか、意味不明。なので、存在感もひどく薄い。

早い話、前作と同じくジャッキーはちょろっと出てくる程度で、あんまり目立った活躍はしていないのだ。いやいや、下手したら、前作よりも出番が少なく、目立ちも悪かったかもしれない。

なるほど、コレクションに収録されなかったわけも、ちょっとは理解できたね。

ただ、ここで気になるのは、私が初公開当時この映画を見たときと、あまりにも印象が違うことだ。

いまから30年以上前のことだが、当時この映画を見た私は、映画そのものの出来ばえはともかくとして、「おお、ジャッキーも出世して、前作よりも出番が増えたんだな」と思ったのだ。

今回あらためて見直すまで、この印象は変わらなかった。30年ぶりで見直してみたら、上記したように、かえって影が薄くなっていたというのに。

人間の記憶なんてそんなもんだということか、それともこの映画に別バージョンがあるのか(ジャッキー映画に限らず、わりとよくあることではある) じつは各種の資料によってこの映画の長さがまちまちだったりもする(今回見たDVDでは109分だが96分とする資料もある)

ま、そんな事情があるのかも知れないが、基本的にこの「キャノンボール2」が大した映画でないことは間違いないのであった。

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