★★★★GO!

例の話題のゲーム、私もついついダウンロードしてしまいました。でも何をどうしていいのか、さっぱり。考えてみたら私、ポケモン自体をほとんど知らないんでした。ただいまボチボチ研究中であります。

で、そのゲームですが、名称を聞いたときに、こんな映画を思い浮かべたのは日本広しといえども私だけ?

それは「特攻サンダーボルト作戦」(1976年)

え、なんで? そう思った人は、ちょっと勉強不足ですな。

この映画は原題を「RAID ON ENTEBBE」といい、1976年6月に実際に起きたエンテベ空港急襲作戦を描いた映画……といっても、肝心の事件そのものも、もはや歴史上の出来事か。

概略だけ言えば、テロリスト(パレスチナ解放戦線ほか)によってハイジャックされたエールフランス機がイスラエル人を主とした人質たちを乗せたまま、ウガンダのエンテベ国際空港に着陸。当時ウガンダの独裁者だったアミン大統領がひそかにハイジャック犯側と通じていたりして人質解放交渉は進まず、業を煮やしたイスラエル国防軍の急襲部隊が、エンテベ空港に乗り込んで実力行使、みごとに人質の大部分を救出したというもの。

外国の地に急襲部隊を派遣して自国の国民を救出するという、まさに映画のような(ある意味ムチャクチャな)作戦だけに、やはり映画屋さんを刺激したのか、たちまち映画化が企画されました。それも一挙に3作品。

その一番乗りになったのが「エンテベの勝利」で、事件の余韻も冷めやらぬ1976年中にさっさと製作されました。わずか半年足らずです。カーク・ダグラス、バート・ランカスター、エリザベス・テイラー、リチャード・ドレイファスらの豪華キャストを投入してホットな題材をあつかった作品だけに、日本でもお正月映画として同年暮れに早々と公開されました。

ところが、この映画、公開されてすぐにアラブ諸国から猛烈な反発をくらい、抗議もあって、わずか1週間で公開中止に追い込まれてしまいました。お正月映画なのに、年末を待たずに上映打ち切り。年が明けたら見ようと思っていた私は、当時ものの見事に見逃しました。

この映画とほぼ同時に撮影されていて、すぐにあとを追って「エンテベ急襲」のタイトルで公開が予定されていた「RAID ON ENTEBBE」のほうも、そのあおりを食って公開中止になったという次第。

それからしばらくして、エンテベ色を消して公開されることになり、その際につけられた邦題が「サンダーボルトGO!」なのでした。ああ、やっとつながった。

けっきょくこの「サンダーボルトGO!」もオクラ入りとなり、ようやく公開されたのは1987年6月。もはや誰もそんな映画のことは覚えていませんでした。その際の邦題が「特攻サンダーボルト作戦」

じつは「エンテベの勝利」は、豪華キャストのわりには、拙速さを露呈した映画で、鑑賞した観客の評判は非常に芳しからぬものでした。そのせいか、その後はソフト化も少なく、国内ではVHSのみの未DVD化。それに比べると「特攻サンダーボルト作戦」こと「サンダーボルトGO!」こと「エンテベ急襲」のほうは、アーヴィン・カーシュナー監督、ピーター・フィンチ、チャールズ・ブロンソンら「勝利」よりは渋い顔ぶれながら、なかなかの出来栄えで、こちらは現在でもDVDで見ることができたりします。

「勝利」の一件のすぐ後の1977年夏には、やはり政治的な理由で公開中止になった「ブラックサンデー」の例もあり、こんな理由でオクラ入りになるのは、観客側としては何とも納得いかないものでした。そこはまあ仕方ないんでしょうが。

ちなみに「サンダーボルト」というのはイスラエル国防軍がこの作戦に実際につけた作戦名だそうで、軍人さんってのはやっぱりちょっと中2病じみた人が多いんですかね。

なお、この作戦を描いたもう一本の作品は、1977年にイスラエルで製作された「ENTEBBE : OPERATION THUNDERBOLT」で、こちらも日本ではビデオ発売のみ。邦題は「サンダーボルト救出作戦」といいます。やっぱりいまはレアもの。

ああ、大人気ゲームの話題のおかげでこんなことを思い出してしまった。これは「特攻サンダーボルト作戦」のDVDでも買わねばならないでしょうかねえ。

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