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映画史上最高の20分間

ジャッキー・チェンと勝負する(13)」のために「サイクロンZ」を見たら、ロイ・チャオが出ていたので、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を思い出した。

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ご存知、冒険考古学者インディアナ・ジョーンズが活躍するシリーズの第2作で1984年の映画だが、この映画のオープニング・シークエンスが、私は映画史上最高の20分間だと思っている。だから、そこに顔を出す俳優たちは記憶に刻まれているのだ。ロイ・チャオ(喬宏)も、その一人。

ちなみにこの人、香港映画だけでなく海外の映画にまで幅広く出演していて、ハリウッド映画への出演も多いので、顔に見覚えのある人も多いだろう。あの「燃えよドラゴン」にも出演している。私は勝手に彼のことを「香港の三船敏郎」と呼んでいる。

まあ映画の最初の最初だし、ここでその20分間を多少くわしく書いても、ネタバレにはならないだろう。ざっと紹介してみよう。

「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を見たことのある人は思い出しながら、そうでない人は想像しながら、読んでください。

まずケイト・キャプショー演じる歌姫ウィリーが歌う「エニシング・ゴーズ」で幕開け。

これが見事なミュージカル仕立てで、往年のMGM映画を思わせる出来ばえ。この映画を見て以来、私はいつの日かスティーヴン・スピルバーグ監督の手になるミュージカル映画が見られるのではないかと期待しているのだが、いまだ実現していないな。

次いでこの歌が歌われている上海のナイトクラブに場面は移り、インディ(ハリソン・フォード)が暗黒街のボス、ラオ・チェ(ロイ・チャオ)と「ヌルハチ」をめぐる取り引き。

息詰まる駆け引きが繰り広げられる毒薬と解毒剤の一幕があり、それがこじれて一転して大乱闘から銃撃戦へ。

成り行きでウィリーとともに脱出したインディを迎えるのは少年ショート・ラウンド(キー・ホイ・クァン)。

彼の華麗かつ乱暴きわまりないハンドルさばきで猛烈なカーチェイス。

上海の町を破壊しつつ、何とか空港へ逃げ込み、追いすがるラオ・チェにインディ笑顔で「悪いな、ラオ・チェ!」の名シーン。

そしてなぜか万里の長城上空を飛び越えて、飛行機はインドへ。

今度はヒマラヤ上空で墜落の危機、そして救命ボートで激流へ……

どうですか、ロジャー・コーマンならこれだけで5本くらいは映画を作りそうなくらい、盛りだくさんで、サービス満点。

そのうえ、この間まったくテンポが緩むこともなく、サスペンスも盛り上げ、そして小技のユーモアまでも忘れていない心憎さ。

この20分間に、映画の魅力がギッシリです。

これが、映画だ! そう言い切れる名シークエンスですね。

この後も素晴らしい物語が続くんですが、さすがにこの冒頭だけで、見てる方が早くも疲れてしまう。これだけは、スピルバーグの計算違いだったかな?(笑)

このシークエンスを楽しむためだけに、私はもう何十回、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を見たことでしょうか。

ああ、また見たくなってきた。DVDはどこにしまったっけな?

ところで、この映画の撮影がスタートする前の時期、シリーズ第2作(つまりこれ)は日本が舞台になり、天皇陵に眠る秘密を探るインディが日本に潜入して、憲兵隊を相手に戦う作品になるっていう情報が映画雑誌に出ていた。

けっきょくビッグマーケットである日本を敵役にするのはよくないってことでお流れになったそうだが、そっちも見てみたかったぞ。

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