入院騒動〔6〕
入院生活終盤で、もっともビビったのは、ある朝歯を磨いていた時のこと。
いきなり前歯の一部が、ぽろっと欠けたんです。
入院する前後からなんか違和感があった歯なんですが、歯ブラシでこすっている最中に、文字通りぽろっといった感じで。
痛くもかゆくもないんですが、びっくりしますよね。
前に書いたように、いろいろな薬を飲んでいるのですが、そのうちのひとつ、骨粗鬆症を防ぐ薬に「歯科で治療を受ける際には本剤を服用中である旨をお伝えください」なる注意書きがついていました。
え? え? これって、薬の影響?
大いにびびって、回診に見えたドクターに相談してみました。
ドクターはシンプルに「関係ないですね」
ほっと一息です。じっさい、退院してから歯科医院に行ったら、以前に治療した歯の充填剤が取れただけでしたね。やれやれ。
入院中にはメンタルも弱っているのか、こんなことでも、いちいちびっくりするもんです。
そんなこんなで、けっきょく通算で18泊19日間におよんだ入院生活は、終わりを告げました。
映画「大脱走」のスティーブ・マックィーンの独房生活よりは短くてすみましたが、充分長かったです。
↓ 私の帰宅を一番喜んでくれたのは、こいつ
ですが、愛犬が私の不在に気づいたのは、入院から1週間が過ぎたころだったそうです(笑)
退院してみて痛感したのが、人間の筋肉ってこんなに衰えるもんかってこと。
足腰がふにゃふにゃした感じになったのをはじめ、体全体の筋力が低下した感じでした。
じつは、19日間の入院中に、体重が10キロ減っていました。病院食の威力でしょう。
ただし、体型(やや太め、特に腹囲)はほとんど変わらず、全体に縮んだ感じ。理想的な体型にダイエットしたわけじゃありません。
どうやら、減った10キロのほとんどは、筋肉だったようです。
そううまくはいかないか(笑)
退院から1カ月が過ぎようとしています。
まだ全治とはいかず、呼吸機能も戻り切っていないうえ、衰えた筋力もまだまだ戻りませんし、通院と服薬は続行中。
当分この状態に慣れねばならないようで、ドクターからは数カ月単位かかることを覚悟するようにと言いわたされてます。
それでも治りつつあるんだから、感謝です。
入院中にはTVドラマもほとんど見られなかったことは前に書きましたが、朝の連続テレビ小説と大河ドラマは見てました。「わろてんか」と「西郷どん」ですね。
入院最初の日曜日に見た「西郷どん」は、ちょうど西郷どんの母上がなくなる回でした。松坂慶子が扮する母上は、肺病で亡くなるんですよね。このシーンはつらかった。
何しろこちらは同じ症状の真っ最中です。動くたびに息が切れて苦しそうにする母上の姿、リアルに感じすぎました。
そしてつくづく思ったこと。
オレ、あの時代だったら間違いなく死んでたんだろうな。
ほんとに、現代に生まれていてよかったですよ。
あと、痛感したのは「保険って大切」
健康保険はもちろんですが、入院保険もたいへん重要です。
私は長年、やや高めの保険料を保険会社に支払い続けてきたんですが、今回の入院費用のほとんどをその保険でカバーできました。モトを取ったぞ(笑)
3週間ほど後に通院すると、病院前の桜が満開でした。
【了】
【だいぶん演出して書いてます。病院やそこのみなさんにはもちろん、家族をはじめ、多くのご心配やご迷惑をおかけした関係者各位には、感謝とお詫びを申し上げます】
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