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ソロバンビートのアルチザン

岡本喜八監督の「独立愚連隊西へ」は、私にとっては日本映画史上の最高傑作のひとつ(個人の見解です) 年に一回以上、手持ちのソフト(いまはDVD)で見直すくらい好きです。

で、今回はこんなものを手に入れたので、その記念に見直しました。

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「独立愚連隊」と「独立愚連隊西へ」のオリジナル・サントラ盤。もちろん、かの有名な(?)「愚連隊マーチ」などの主題歌は他の盤で持っていたのですが、映画内で使用された曲がほとんど網羅され、そのうえ未使用のテイクまで収録されているといわれては、買うしかないじゃないですか。

「独立愚連隊」もいいのですが、私のお目当てはもちろん「西へ」 CDを順繰りに聴いているだけで、嗚呼あのシーンだ、嗚呼ここはこうだったとテンションが上がります。買ってよかった

私のいちばん好きなシーン、加山雄三(若い!)率いる左文字小隊が中国軍(映画のなかでは八路軍、いやパーロ軍)の大部隊と霧の中で追っかけっこするシーンの音楽まで収録されているのは感動ものです。

佐藤允が演じる戸川軍曹の「見ろ!あのケツ、でっけぇぞ!」の掛け声とともにインするナンバーは、短いけれど印象に残りますね。

この曲に使われているのが、ソロバンの音色(?) 堺左千夫の神谷一等兵はこの映画の重要なキーパースンですが、彼が占いに使うために携行しているソロバンが、走るにつれて奏でる「チャッチャッチャッ」というビートが実に効果的であります(CDか映画のソフトを買って聴いてみてね)

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岡本監督はソロバンに何か思い入れがあるのか、しばしば彼の映画にはソロバンが登場します。

「ジャズ大名」では城主(古谷一行)の娘である松枝姫(岡本真実)が、城内の長い廊下をスケボーよろしくソロバンでシャーっと疾走するシーンは印象的。

小学校の時にあれをやって、当然のようにソロバンを壊して先生に怒られてた級友がいたことを思い出します(私じゃないですよ)

ラストの大セッションでも松枝姫はあのソロバンで参加してましたね。たしかに、うまく使えばリズム楽器としてはけっこういいのかも。

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もうひとつ挙げれば、ああ爆弾の銀行のシーン。

現金の勘定が合わないとかで残業する羽目になり、10円玉一枚のせいでとかいう愚痴を行員全員が高らかに歌い上げるのですが、当時は電卓すらまだない時代なので、帳簿の計算はすべてソロバン。そういえば結婚前には銀行員だったことのある老母が、昔はああだったとか回顧していたことがあったなぁ。

この一大ミュージカルシーンでも、ソロバンは独特のビートを刻んで活躍しています。

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それにしても、占いもできるし、楽器にもなるし、もちろん計算もできるソロバンって、超便利なものなんですね。

そういえば、なんの映画だったか、ソロバンで頭をぽかりとやるのがありました。ジャッキー・チェンだったっけ? 

ソロバンって、武器にもなるんですよ。

私が社会人になりたてだったころ、まだまだソロバンは現役のオフィス用品でした。最初に配属された商品倉庫では伝票を切るのに、なぜか電卓は禁止でソロバン強制でした。それまで真面目にソロバンに取り組んだことがなかったので、けっこう閉口しましたっけ。

その業務命令(?)のおかげで、すぐにそこそこのスピードで珠算をできるようにはなりました。業務の性格上、できるのは足し算だけでしたけど。

いまではパソコンなどの普及により、電卓すらもオフィスからは消えつつあるようですね(そういえば、経理課に超絶に電卓の操作が速い人がいたっけなぁ)

学校では今でも授業で珠算はいちおう習うようですが、いずれは人類文明での役割を終えて過去のものになるんでしょうか。

まあ、いまのところはまだ現役なようです。アマゾンでも買えるしね

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おひとついかがですか(笑)

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