JR鶴見線国道駅ぶらり
息子が入学した高校が横浜市の鶴見にあるので、それまでの半世紀近い生涯で一度も行ったことのなかった鶴見に、しばしば足を運ぶようになった。
学校の最寄駅が鶴見線なんで、毎度乗車するのだが、その都度気になっていたのが、この国道駅。
名称も気になるが、調べてみるとこの駅、開業は昭和5年(1930年) おお、うちの父親と同い年ではないか。そして、開業時からまったく改装されたことがないということで、昭和初期の雰囲気をそのままに残しているため、数多くの映画やテレビのロケにも使用されたという、その筋では有名な駅だ。
気にはなっていたものの、いつもは通過するだけ。だが息子の卒業も近づいてきたので、ちょっと立ち寄ってみることにした。
鶴見川沿いの道から高架下をたどると、忽然とこんな入り口が。
ここから改札口まで、高架下トンネルが。覗いてみるとこんな具合。
ううむ、ただならぬ魔窟感が漂うぞ。
奥の明るいほうが鶴見駅方向。そっちのほうに改札があるらしい。
改札発見。いや聞きしにまさる「昭和」ムード。昭和といっても私の知っている戦後のそれではなくて、戦前感あふれてるね。出口付近にはこんなものもあった。
この看板、電話番号からすると現在は実体無しのようだが、なぜかそのまま。高架下トンネルにはこの手の物件がゴロゴロしてる。
駅を出ると、そこが駅名の由来になった国道。
開業当時は、この道が京浜国道(現在の国道15号線の前身)だったためにこの駅名がついたとか。当時は国道1号だったそうだ。
駅の入り口横の壁にはいくつかの穴が。
これは戦時中の米軍機による機銃掃射の跡だそうだ。点々と残る弾痕が、横浜空襲という歴史的事実を物語っている。
改札(無人)を通って駅構内に入ると、レトロ感はいや増す。多少は改装されているようだが、古くさいねどうも。正面の階段を上がったところが浜川崎など埋立地方面へ向かうホーム。
鶴見方面へ向かうには右側へ。
そこには、こんなものが。
フツーの駅なら跨線橋というところだろうが、こちらは高架下の歩道橋。なぜこんなシステムになっているのかは謎だ。
橋から見下ろすと、改札口はこんな眺め。
さっき入ってきた鶴見川方向を見ると、ますますの魔窟感。
ホームも往時のままらしい。屋根に特徴あるね。向こうが鶴見川にかかる鉄橋になる。
鶴見方面を望む。線路の草が、なんともいえないムードを醸し出す。
ホーム端から鶴見川方面を見る。建物の間にわずかに川面が覗いていた。
電車が来たので乗車。ちなみに、終点の鶴見は、このすぐ次。歩いても充分行ける距離。営業距離は900メートルらしい。
いまや貴重な文化財かもしれない、このさびれた無人駅(乗降客は1日1500人程度だとか) なかなか面白かった。
帰宅後に母親にこの写真を見せたら「むかしはどこの駅もこんなだった」と懐かしんでいた。そういえば母の実家は山手線の新大久保駅近く。私の記憶にある新大久保や中央線の大久保駅も、そういえばこんなムードだったな。
機会を見て、また行ってみようかな。
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