シリーズは最初から見る(読む)べきか?

私のツイッター上で、「怪盗ルパン」はどこから読むべきか? という議論が巻き起こっていた(局地的にだが)

ご存じのように、アルセーヌ・ルパンのシリーズは作品数も多く、作品中の時代や前後が入り組んでいる。しかもほかの作品の続編になっているものもあるのだから、たしかにどこから読めばいいのか、知らない人はためらってしまうかもしれない。

先にこの問題について言えば、たしかに順番はあるものの、ルパン物はどれも単独でも充分に面白い作品なので、どこから読んでも大丈夫とお答えしておこう。

でも、これは確かにむずかしい問題で、初心者(あえてそう言わせてもらいます、上からっぽくて嫌だけど)が読み始めをためらうのは、だいたいこれで引っかかってしまうから。

ルパンとよく並び称されるシャーロック・ホームズは、その点ではよくできていて、ほんとにどこから読んでもほとんど影響がない。まあ長編が少なく(4作だけ)、ほとんどが短編作品だからってこともあるだろう。だから、目についたものからとりあえず読めば、ほとんど楽しく読めると思うよ。

ルパンにしてもホームズにしても、長い年月にわたって書き継がれたので、その作品世界でも当然のように月日が流れている(ただし、実際の世界と同じように時間が流れるとは限らず、また作品の執筆順が作品世界の月日の流れと一致しているとは限らないが)

だから、作品年代順に読めば、ルパンやホームズの変化や成長、時代背景の移り変わりなどが楽しめる側面はあるものの、それはあくまでオマケと思えばいいだろう。

もちろんそうでないものもある。

映画でいえば、たとえば「スター・ウォーズ」は、やはり「エピソード5」や「6」を見る前に「4」は見ておいた方がいいだろう。いや、順番に見た方が絶対的に面白く見られる。ただし(今回これ多いな)「エピソード1~3」をさらに先行して見なければいけないかというと、それはそうでもないからメンドクサイね。

ただ、映画というのは商売なので、最初から一見さんのお客様を拒否するような作りをするようでは、そもそも失格。だから、たいていの場合、ちゃんと踏まえておかなければいけないそれまでのお話を観客に知らしめる作りは、最低限されているものだ。

これは意外と浸透していて、500円映画でもたいていはそうなっている。「メガシャーク」を見ないと「メガシャークvsジャイアント・オクトパス」が見られない、なんてことはありえないし(笑)

たとえば007シリーズなども、シリーズものとはいっても個々の映画は基本的にはスタンドアローン作品。前作を知らずに見ても充分面白く見られる。ただし(またかよ)たとえば「女王陛下の007」を見てからのほうが次の「ダイヤモンドは永遠に」のオープニングは楽しめるだろうし、「カジノ・ロワイヤル」からのダニエル・クレイグ=ボンドの4作は順に見た方が数倍楽しい。

要は、どうしても「シリーズものとしての面白さ」を味わいたければ、それ用の見方をすればいいのであって、そうでなければそんなにこだわることはないってことだ。

ただし、ミステリ小説などの場合に注意が必要なのは、ネタバレだ。

海外の作家さんはこの点にはけっこう無頓着で、シリーズの前のほうの作品の犯人やトリックを、いともあっけらかんと作中でバラしたりしてくれることがある。自分の作品はきちんと全部順を追って読まれているという絶対の自信があるのかもしれないが。このへん、困ったものだ。

気の利いた作者はそんなところにまで気をつかうもので、たとえばアガサ・クリスティーなどは、そんなことはないので安心である。クリスティー作品が時代を超えて読まれているのも、案外そのへんに理由があるのかな。

ちなみに、そんなこととはまったく関係ない「シリーズ」も、映画にはたくさんあるので、あんまり気にしすぎないように。

「ダーティーハリー」とか「2」「3」「4」なんて、まったく意味がないほどお互いに関係ない話だし、そもそも「サスペリア2」は「サスペリア」とはストーリー上ではなんの関係もなく、おまけに「サスペリア」より前の作品だったりするのだからね。

みなさん、油断なさらぬよう(笑)

今回のネタは、あくまで私見で一般論ですので、惑わされないでください

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